第3話
階段は大理石だった、たぶんだけど。
実物と似ているのでそう判断しただけだ。
手摺りは木製で、木目がよく見えた。
ここは一体どこなんだろう。
見上げると階段は遥か上まで続き、その真上は 光りで見えない。
もし永遠に続いているとわかるなら、早々に諦 めがつくんだけど。
『上へ…………上へ……』
声がした。
部屋に響き渡るというより、僕の鼓膜を抜けて 直接脳に働きかけるような。
自分の意思に関係ないこの現象に、僕はどうし たらいいのか。
とりあえず従うことにした。
他にやることがない。
声の主は姿を見せないので、勝手な行動をとる ことにした。
階段を上りながらできること。
それは地団駄だった。
あと手摺りと壁を殴る、蹴る。
手も足も痛くなったが、声の主からは何の反応 もなかった。
ただ僕がダメージを負っただけである。
はたから見ればキチガイの精神病患者よろし く、だったので精神的なダメージも付加された。
まあ身近にその患者さんがいるので、痛くも痒 くもないほどではあるが。
途中扉らしきものがあったが、ノブのない、た んなる絵画だったので落胆した。
なんという策略。
ポーカーフェイスの下に憤怒の性格を燻らせな がら、ひたすらこれでもかというくらい階段を上 る。
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