第3話

高校二年生の春は意外と簡単に訪れた。

 鈴無高校に入ってすぐ先生に言われたのは、「三年間なんてあっという間だ」というセリフだった。確かに一年が経ったけど、僕にとっては中身の薄い日常で一日一日が早かった。そのせいで事実、思い出が少ない。

 大人と子供とでは重ねてきた年齢が違うため、それに伴い体感速度も違うとは聞いていた。中学の頃と何が違うのかは断定できないけど、確かに時間の流れは速く感じた。そのせいで中身の濃い高校生活が遅れなかったのだと一人納得したりもして。

 けれど環境が違えば時間も、そして日常すらも変化することがある。それを知ったのは昨日のこと……。

 高校一年生最後の日はクラス全員集まりましょう、という呼びかけに僕はなんとなく応え、参加した。

 なんとなく、というのはけっして友達が多いほうではなかったので気後れするかと思っていたからだ。いや、本当は面倒だ、くらいに思っていたんだけど。

 結果としてそれは杞憂に終わった。

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