第3話
高校二年生の春は意外と簡単に訪れた。
鈴無高校に入ってすぐ先生に言われたのは、「三年間なんてあっという間だ」というセリフだった。確かに一年が経ったけど、僕にとっては中身の薄い日常で一日一日が早かった。そのせいで事実、思い出が少ない。
大人と子供とでは重ねてきた年齢が違うため、それに伴い体感速度も違うとは聞いていた。中学の頃と何が違うのかは断定できないけど、確かに時間の流れは速く感じた。そのせいで中身の濃い高校生活が遅れなかったのだと一人納得したりもして。
けれど環境が違えば時間も、そして日常すらも変化することがある。それを知ったのは昨日のこと……。
高校一年生最後の日はクラス全員集まりましょう、という呼びかけに僕はなんとなく応え、参加した。
なんとなく、というのはけっして友達が多いほうではなかったので気後れするかと思っていたからだ。いや、本当は面倒だ、くらいに思っていたんだけど。
結果としてそれは杞憂に終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます