概要
ファンが先か、アイドルが先か。
「アイドルとファンってどっちが先に生まれると思う?」
僕は顔を上げた。鼻の上を滑り落ちた黒縁眼鏡を指で押し戻す。
「まあどっちも揃えばいいんだよね。貴志くんが私を推してくれれば問題なし」
「自分の推しは自分で決めるって言っただろ」
「そう言ってられるのも今のうちだよ」
僕たちの間には折り畳み式の将棋盤が置かれていた。盤上では四十枚の駒が互いにせめぎ合っている。
彼女はそのひとつを摘み上げて不敵に笑った。
「今日こそ貴志くんに私のファンになってもらうんだから」
一日一回。持ち時間は十分。僕は飛車角落ち。
この対局に負けたら、僕はファンになって、彼女はアイドルになるのだ。
僕は顔を上げた。鼻の上を滑り落ちた黒縁眼鏡を指で押し戻す。
「まあどっちも揃えばいいんだよね。貴志くんが私を推してくれれば問題なし」
「自分の推しは自分で決めるって言っただろ」
「そう言ってられるのも今のうちだよ」
僕たちの間には折り畳み式の将棋盤が置かれていた。盤上では四十枚の駒が互いにせめぎ合っている。
彼女はそのひとつを摘み上げて不敵に笑った。
「今日こそ貴志くんに私のファンになってもらうんだから」
一日一回。持ち時間は十分。僕は飛車角落ち。
この対局に負けたら、僕はファンになって、彼女はアイドルになるのだ。
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