第3話

結局、それから夕菜先輩に会うことはほとんどなくなった。夕菜先輩は就活で忙しかったし、なにより私に自分の姿を見せたくないようだ。そして私も……身勝手ながら、先輩の姿を見たくはない、と思ってしまった。もとより学年も違うのだから、そう決めると顔を見ることすらなくなった。


そしてあっという間に2年が過ぎた。夕菜先輩は結局どうにか就職先が決まり、卒業することになった、らしい。私の方はと言えば、もう3年生――会った時の夕菜先輩と同じ学年になり、いよいよ就活戦線に身を投じることになった。

それで、なんでこんなことを思い返しているのかというと、教授からこういう連絡が来たからだ。


「専攻の皆さんへ

いよいよ4年生の先輩が卒業されます。つきましては卒業記念の飲み会を執り行いますが、卒業生以外の皆さんも奮ってご参加ください。なお、卒業生は全員参加の予定です」


さて、教授にはお世話になったから、参加しないわけにはいかないだろう。……ところで、夕菜先輩はどうしているだろうか。


正直、あまり会いたいわけではない。でも、やはり、先輩が本当に「変わって」しまったのかは、確かめてみたいと思う。


それに、少なくとも、先輩にはお礼を言わなくてはならない。私を導いてくれたこと、そして、私に多大な影響を与えてくれたことを。



******


これで完結となります。

拙作ながら、お読みいただきありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

先輩は変わった 葉生 @yasheng

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ