第19話『ギシキⅡ』
サキがゆっくりと俺の前に歩み寄る。失われた左手の指、その切断面から滴る血が腕を伝い、赤黒い筋を描く。だが彼女は痛みをものともせず、残された手で俺の熱を帯びた箇所を撫でる。
冷たい掌が脈打つ鼓動を確かめるように這い、「ユウトのここ、ずっと固いままで辛そうだったね? 変態だね?」と歪んだ笑みを浮かべた。
「サキ……やめろ」
喉が干上がり、声が震える。彼女は刃物をじっと見つめ、「ユウトには、ミカにしたように、私の中に出してほしいんだ」と淡々と告げる。
夕陽の光が鈍く刃に反射し、その瞳の奥に狂気を宿す。
「ミカにしたように……?」
警戒を滲ませる俺を見透かしながら、彼女は微笑む。これ以上刺激すれば、何が起こるかわからない。
「分かったよ」と小さく呟くと、サキは満足げに頷き、ゆっくりと刃を自らの下腹部へと突き立てた。
肉が裂ける湿った音。鋭い切っ先が深く沈み、血が溢れ出す。
赤黒い液体が白い肌を染めながら滴り落ち、「中に欲しいの。ユウトと一緒になれるように、外に零れないように、私の体内に」と声を荒げる。
「サキ……!?」叫びながらもがくが、手足を縛る縄はびくともせず、ただ肌に食い込むだけだ。
サキの手が俺の硬くなった部分を掴み、血まみれの下腹部の傷口へと押し込む。熱い血と柔らかな内臓の感触が絡みつき、ぬるりと包み込まれる。
「うっ……」苦痛に呻くサキの腹の中で、俺を締め付ける内臓の襞が蠢く。
傷口から溢れる血が俺の下腹部を濡らし、粘り気のある熱が絡みつく。サキは血まみれの手首を俺の口元へ近づけ、「ミカみたいに飲んで」と囁く。
「うぇっ……やめて……」顔を背けるが、顎を掴まれ、無理やり口を開かされる。鉄の味と生臭さが舌を覆い、喉を滑り落ちる感触に吐き気が込み上げる。「サキ、お前、死ぬぞ……!」と血に咽びながら叫ぶが、彼女の狂気に何の揺らぎもない。
サキが腰を動かし、傷口の中で俺を締め付ける。内臓の湿った音が地下室に響き、彼女は苦痛に歪む顔で「ユウト、私の中で出して」と囁く。肉の襞が俺を包み、彼女の腸が突かれるたび、サキの体が跳ねる。
「ぐっ……うぉえっ……」
彼女の喉から込み上げた胃液が口から溢れ、血と混じった滴が顎を伝って床に落ちる。血の味と内臓の熱に怯えながらも、異様な興奮が抑えきれず、下腹部が膨張する。
「サキ……!」
限界が近づき、恐怖と快感が交錯する。サキの腹の中で俺が絶頂を迎え、熱い白濁が内臓に流れ込む。血と精液が混ざり、傷口から逆流する。
「ミカより、たくさん中に出してくれて嬉しい。ミカより気持ち良かったよね?」
満足げな笑みを浮かべ、血と汗と胃液に濡れた体で俺を見下ろす。彼女の腹から溢れた液体が俺の太ももを濡らし、生温かい感触が這う。
「これでユウトも、私のものだね」
狂気に染まった瞳が俺を射抜く。
「サキ……何だよ、これ……」
声にならない呻きを漏らす。
血と涙で顔を濡らしたミカが、「ユウト……」と嗚咽混じりに呟く。
地下室に充満する血と精液、内臓の生臭い匂い。
サキの狂気が静寂を切り裂くように響いていた。
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