【スピンオフ3】カイ編 〜夢を持たない者〜

第1話: 夢を捨てた理由

フューチャースノーパークの片隅。


賑わう園内をよそに、カイはひとり静かにコーヒーを飲んでいた。


「夢があるって、そんなに大事か?」


彼は、そうぼやく。


子どもの頃、夢を持っていたこともあった。


しかし、それは手の届かないまま、消えていった。


▶ 夏樹との再会


「カイ、久しぶりだな。」


ふと、聞き覚えのある声。


振り向くと、夏樹が立っていた。


「相変わらず、ここにいるんだな。」


「まあな。夢を追うのに疲れた連中の休憩所ってとこだ。」


カイは皮肉めいた笑みを浮かべる。


「お前は、まだ夢を追いかけてるのか?」


夏樹は少し考え、頷いた。


「俺は、やっと自分の夢を見つけたんだ。」


カイは静かにコーヒーをすすりながら、目を細めた。


「……羨ましいよ、お前のことが。」


▶ 過去の傷


カイが夢を捨てたのは、ただ諦めたからではない。


かつて、本気で信じていた夢があった。


しかし、現実はそれを壊した。


「叶わない夢なら、最初から持たない方がいい。」


そう思うようになった。


「夢があった頃の自分を思い出すのは、苦しいんだよ。」


カイの言葉に、夏樹は何も言わなかった。


ただ、静かにカイの横に座る。


「夢を持たない生き方も、悪くないだろ?」


カイはそう言いながらも、心の奥にわずかな痛みを感じていた。

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