第13話

「もう!智也!!怒るよ!?」




それでも簡単に諦める事もできなかった。


唯子にちょっかいを出しては怒られた。




「いいだろ!弁当くらい、減らないだろ!?」



「減ってるわよ!プチトマトが!!ひとつ!!」



「お前食物位でそんなにキレるなよ!」



「食べ物の恨みは怖いんだから!今度お詫びに英語の宿題見せて!」



「高いプチトマトだな・・・。」



「智也頭いいからいいじゃない。

苦手なの。英語・・・。」




そんな事を言いながらも唯子に頼られる事は嬉しかった。

項垂れる唯子は可愛かった。




「お前ら本当に仲いいよな!つきあえば?」



「やめてよ!智也なんて・・・!!」





そうやってからかわれる事も度々あった。


それに、顔を真っ赤にして照れたように怒る彼女。





間違いなく、仲はよかった。





彼女と1番仲が良かった男子は確かに智也だったと思う。



唯子と広輝は席が離れた事で以前より会話は減っていた。




二人とも、積極的に異性と関わろうとするタイプじゃない。





そんな唯子の態度にもしかしたら、と思う事は何度もあった。










「智也は、ちゃんと人の目を見て喋るよね。

真面目な証拠だ。」



唯子は時々そんな事を言って笑った。




唯子は、人の本質を見ようとする子だった。


軽いと言われる智也が実は真面目で成績がいい事も、部活を真剣にやっている事もよく知っていた。


そんな彼女だからこそ、物静かな広輝の優しさに気付き惹かれたのだろう。



そして又、そんな彼女に惹かれる自分を止める事も出来なかった・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る