第8話

この頃はとても、楽しかった。






里香は天真爛漫で可愛い女の子だが、意外と要領が良く性格的にも気が合った。


地味だと思った広輝は気が配れるいい男で度々感心させられたし、友人達とはタイプが違ったからこそ新鮮な発見があり面白かった。






4人が意気投合した一学期はあっと言う間だった。









「じゃあ、雨宮。時間になったら課題を集めて職員室に持ってきてくれ。」



「え~!!なんであたし!?」



「出席番号が1番だからだ。」



「意味わかんない!!」





意外な程に要領の悪い唯子は、いつだって雑用を任されていた。



嫌がるのに断れない。


それをこなすのに人一倍かかる。




そんな彼女をしっかり者だなんて、誰が言い出したんだろう…



そんな事を思ってしまう事は度々あった。






「唯子!よろしく!!」




そう言って智也は座っている唯子の頭に腕を置いた。




「もぉ!頭グチャグチャにしないで!!」




唯子の反応が可愛くて、思わずちょっかいをかけてしまう智也。




彼女を名前で呼ぶ様になるのも、彼女が名前で呼ぶようになるのも、時間はかからなかった。

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