第6話

中学3年の初めての席替え。




それが行われたのはGWが明けたばかりの時期だった。





智也はその席に一人喜んだ。



隣になった女子は学年で1番可愛いと噂されていた女の子、上野里香。






後ろの2人と合わせて4人。



給食や掃除、グループ課題、共に過ごす事となるメンバーに可愛い子がいる。




男なら、心が弾まない訳がない。





人見知りをしない智也が早速、話しかけようとしたその瞬間だった。






「あ・・・」





小さな高い声が後方から聞こえた。




何故か、その声が耳に残った。







後ろになった女の子はよく学級委員長や何かをやらされる、いわゆる真面目なタイプだった。







雨宮唯子。







綺麗な子ではあったが悪ふざけばかりしていた智也はどちらかと言うと苦手なタイプだった。





「・・・野原、くん。」




彼女が隣の男子に弱々しく話しかけた。





野原広輝。


彼は大人しい、地味なタイプだ。



智也はこの二人に初見では特に興味を示さなかった。





それなのに、この時何故か里香に話しかける事も忘れその声に耳を澄ませた。

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