第12話

「直射日光は、目に悪いですよ?」



「気をつけるよ」



あたしの言葉にニコリと微笑んだ。



なんだろう、この空気。


穏やかなんだけど、フワフワする。



この人の持つ雰囲気のせい?




隣に思わず座ってしまったあたしに少し驚く彼。




「知らない男の人についてっちゃいけないって学校で言われない?」



「けど、お兄さんどう見たって怖い人に見えないもん」



だって、なんだかもう少しこの空気の中にいたい……



なんだろう。これ。



「人は見かけじゃ分からないよ?僕が誘拐犯かもしれない」



少し怖い顔で、けれどイタズラっぽく笑う。



「お兄さんになら攫われたいな」



だって、そんなの素敵じゃない?

天使が大人になってさらいに来てくれたなんて。


元々夢見がちだってよく言われてるけど。

冗談だって事くらい分かってるけどね。



「くっ……凄い、殺し文句。末恐ろしい中学生だな」



おかしそうに笑う声がちょっと幼く感じて益々側にいたくなったんだ。

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