第11話

お兄さんは変な顔から一転、その顔をゆるゆると緩める。




「なにそれ」



楽しそうに穏やかに笑う声が耳に心地いい。




「中学生?女の子が一人で危ないよ。こんな人気の無い所」



「あ……慣れてるから……

大丈夫です」



クスリと微笑むその人。

微笑みはまるで砂糖菓子みたいだ。



「明るいうちに帰りなさい?」




「お兄さんはなにしてるんですか?」



あたしはその言葉を無視して話しかけた。


帰れと言われたけど、離れ難い・・・。

こんな人見た事無いんだから。

少し位いいでしょう?



「ああ。本読んでた……」



「え……?こんな所で!?」




「そう。風が気持ちいい方が落ち着くだろ?本読むなら外って決めてるんだ」



不思議な人。そう思いながらも図々しく彼の横まで近づいてみた。

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