第4話
「一人なの?ママは?」
あたしはその子に近づいてなだめる為に頭を撫でた。
思った通り、ふわっふわの絹糸みたいな髪が気持ちいい。
ゆっくりと髪を梳く様に撫でるけれど、指先に絡みもしない。
ゴワゴワのあたしの髪とは大違いだ。
「まま……いないの……
ぼく……猫追いかけて……そしたら、ママいなくなっちゃった……」
悲壮感露わに喋る天使に、不謹慎にも笑みが漏れる。
声はまるで鈴の音みたいだ。
あたしって、こんな子供好きだったっけ?
「ママとは何処まで一緒だったか、覚えてる?」
少し、お姉さん気分で聞いてみた。
末っ子のあたしにはこんな経験無いからこそばゆい。
「……おとうふ、かってた。
いつものいろいろあるお店……」
頼る物を逃してなるものかと、縋る様にあたしの制服の裾をぎゅっと掴んで潤んだ琥珀があたしを見つめる。
……幼いながら、人生の渡り方を心得てるじゃないか。
こんな事されたら何がなんでもお母さんに会わせない訳にはいかない。
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