第3話

「……ひっく……えっ……」





その日は小山の中を探検してた。



山頂だと思われる付近の少し開けた場所の隅、大きな木のしたに、その子はいた。




「ままぁ……」




薄茶色の髪に光が透けて、まるで木漏れ日みたい。


真っ白な肌にほんのり染まったサクランボみたいなほっぺ。


大きな琥珀色の瞳からポロポロと零れ落ちる涙。




天使が本当にいたらきっとこんな顔をしてる。




「……どうしたの?」




多分、人間で言うと5歳くらい。


あたしは天使に恐る恐る声を掛けた。




天使はビクリと肩を震わせて、大きなどんぐりみたいな瞳であたしを見たんだ。





その途端。






「うわーーーーん!!」







より大声で泣きじゃくってしまったけれど……



多分、安心したんだろうな。

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