第2話 百合好き旦那とBL好き奥さん
「やほー、美羽ちゃん、お邪魔しまーす」
「いらっしゃい、
インターフォンがなり、スリッパのパタパタとした音をさせて玄関を開ける美羽。
玄関を開けた先、大きなキャリーバッグを持ち立つ女性。編み込みした髪を肩にたらし薄い赤に染めた髪色をし、おっとりとした雰囲気を
美羽とは幼稚園の頃からずっと一緒に育った、所謂幼馴染で趣味趣向もほぼ一緒の親友でもあった。
「ちょっと、遅れちゃったかな。荷物がおおくなっちゃって、資料いっぱい持ってきちゃった」
「大丈夫、もしあれなら泊まってっても平気だよ、薫くんも大丈夫って絶対、絶対に言うし!」
リビングに案内され、由利亜は大きな荷物を部屋に置く。美羽は由利亜の好きなお茶を用意し、リビングにあるテーブルへと運んだ。
「もうすぐ春コミだから、落とせないもんね。だから詳しく、詳しく聞きにっ!」
「へへ、ちゃんとわかってるから安心して、薫くんから毎日リサーチしてるもん」
お茶とお菓子を用意に、向かい側に座って話をする準備。周りから見たら友達同士の楽しい女子おしゃべり会だと思うだろう。
内容は互いに大好きなBL話である。
「前に一回だけ、うちに来た事があって、凄く酔っ払ってたって言ったでしょ?それから薫くんと気安い仲になったみたいで、私が作ったお弁当を摘まみ食いしようとして、薫くんにめっ!ってされて、拗ねた表情したみたい、もう見たかった、絶対受け顔してたはずだもん!」
「えー、可愛い~、みたい~!美羽ちゃんの旦那さんは見た事あるから、想像はつくんだけどその同僚くんはまだ見てないから想像が…特徴ないのかな」
「ふふ、実はね、泣きぼくろがあって」
「な、な、な、な、泣きぼくろ!?え、やば!色っぽい!鬼畜眼鏡な旦那さんとお似合い!絶対、キャッチコピーは、君を
キャリーバッグから取り出していた、何かのノートに書き込みする由利亜。うんうんと頷きお菓子を頬張る美羽。
「あ、でも薫くんはイメージが鬼畜眼鏡であって、本当に鬼畜じゃないからね?私には優しいし、格好良い旦那さんなんだから」
「わかってる、わかってる。需要と供給のための妄想だし、実在の人物とは、ってちゃんと書くしね!美羽ちゃんもそうでしょう?」
「最近は同僚さんと薫くんばかりだけど、薫くんと薫くんの高校の頃の強面先輩の話も書くんだ~」
「美羽ちゃんは筋肉受けも大好きだもんね?」
お茶を全て飲み終え、由利亜のお茶がない事も確認すると、美羽は立ち上がってお茶を淹れにキッチンへ。
「でも実物見てみたいな~、二人が話す姿もみたい~。美羽ちゃんは見れて良いな~」
「えへへ、実はね今度ご飯食べにどうぞって言ったから薫くんが伝えてくれてると思う。そしたら由利亜ちゃんもご飯食べに来ない?一緒に二人を眺めようよ!」
「え、いいの!?ありがとう、美羽ちゃん!嬉しい!」
お茶を置いて嬉しそうな表情で話した美羽の言葉に由利亜は感激して立ち上がり、ぎゅうっと美羽に抱き着いた。
その瞬間、がたがたんっと何かが転げ落ちる音が響く。
美羽と由利亜が音の方を振り返ると、会社から帰って来た薫が腰を抜かし、口許を手で覆いつつ首をゆるゆると横に振っていた。
「あ、薫くんお帰りなさい!今日は早かったね」
「お邪魔してまーす」
美羽と由利亜は抱き合ったままに、薫へと声をかける。
二人の姿に薫は拝み倒した。
「はぁああ、仕事頑張って良かった……ありがとう、ありがとう…」
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