呪い代行に頼むぐらいなら、金のシャチホコの上で笑え！②

「何ですか、これは！」

　初っ端から、どでかい声を出されていますが、聞こえて来ましたが……

　あれ？　Ｎ様。

「あら、N。大きな声を出して、どうしたの?」

「お屋形。申し訳ございませぬ。この者がとんでもないことを考えておることを知り、思わず叫んでしまいましたっっ」

「とんでもないこと？」

「この者、事もあろうに、これが最後だと申しておるのですぞ！」

　そんな……人をどこぞの極悪人のごとく、指で示さないでくださいよ。

「まあ。ネタ切れですか？」

　だから、どーしてそのように直球で言われるのですかっっっ！

「その慌て様……図星ですなっ！」

　……ぎっくーん！

「真にネタ切れなのですな⁉」

　だから、ネタ切れネタ切れと連呼しないでくれますこと⁉

　まあ、正直、ネタ切れと言うのもありますけどね。

「なっ」

「あら、良かったではないですか」

「お屋形様⁉」

「それだけ、『開運』というものにこだわらなくなったということは、今が充実しているからですわ。リア充ってヤツですわね」

　いや、そんなことはないんですけど、ネタ切れになってきたのは、事実です。

　と言うか、現在は、「掃除」の開運が中心になって来ているので、やっぱりそろそろ一区切りしようかな、と思ったんですよ。

「だから、リア充だって言うんですわ。ようするに、暇じゃなくなったってことですわよね？」

　ほんとーに、容赦ない突っ込みをされますわっっっ。

　まあ、正直に申しますと、そうです。

「何ですと⁉　おのれ、我々を裏切るおつもりかっっっ！」

　だって、ネタ切れだから仕方ないじゃないですか！

「Ｋ、仕方がないことですわ。何事にも区切りは必要です。そして何よりも、この方が『開運』に拘らずにいられるようになったと言うことは、ある意味、一つの卒業ということにもなるのですよ」

「卒業が、理由ですか。それだけですか」

　Ｋ、Ｋ―様が、まるで何か怨念を飛ばしていらっしゃいますっっっっ！　

　しかも微妙に昔懐かしの歌に近い言葉を発されていらっしゃいます～～～～～～～。

「えーかげんにせんか、このぼけっえっ！」

　と、Ｌ様とー登場～～～～！　そうして、容赦なくＫ様をぶっ飛ばしていらっしゃいますっっっっ！

「大事な〆をせないかんと言うのに、いつまでジメジメしとるんやっ。とにかく、こっち来い(きい)！」

「まあ、Ｌちゃん。Ｋをどこに連れて行くの？」

「Ｋ２ちゃん。あんたの子に頼まれたんや。Ｋを連れて来て欲しいってな。とりあえず、一旦、この子を連れてうちは戻るわ」

「あの子がＬちゃんに頼んだの？　自分で来たら良かったのに」

「何か、敵に姿は見せたくない！とか言っとったで」

　すいません、その敵って誰のことですか⁉

「とりあえず、うちは一回戻るわ。ほな、また後でな」

　そう言って、Ｋ様を引きずって退場されるＬ様……。

「やれやれ。〆はあの子にと思っていましたけれど、ちょっと難しいようね」

　まさか、あそこまで騒がれるとは思いませんでしたわ……。

「あの子も、楽しみにしていましたからね。ここであなたと話しをするのを」

　……そうなのですか？

「きっと、寂しいのでしょう。その気持ちは、わからないでもないですわね」

　……Ｋ２様。

「まあ、それはそれとして。本題に行きましょうか」

　相変わらずのぶった切りぶりですわねっっ！

「あら、だって。この数少ない読者の皆様は、わたくしたちの感傷よりも、やはり最終的な開運の方法を知りたいと思いますわ。それが、読者の方々の本音でしょうし」

　いやもう、見事なぶった切りぶりです。

　ですが、Ｋ２様が言われることもごもっともなこと。そう……。

　このブックを楽しみにされている方々にとっては、我々の感傷は、二の次ですわね。

　わかっていますわ、最強の開運方法。

　それは、トイレ掃除です。

「はい？」

　最強の開運方法。それは、トイレ掃除ですわっ！

「……今さら、それですか？」

　何かテンション低くないですか、Ｋ２様っ！

「何と申しますか……今さらそれ？って感じがしますわ。それでしたら、昔から言われて来たことですし」

　確かに、そうかも知れません。風水ではトイレは厄が溜る場所として考えられていましたし、そこを綺麗にすれば、幸運が来ると考えられていました。

　日本でも、烏枢沙摩（うすさま）明王（みょうおう）という神様がトイレにはいて、烏枢沙摩明王の炎の功徳によって清浄な場所に変えるという信仰が広まり今に伝わっています。

　また、下の病気や婦人科の病気からも守護してくださいます。

　日本では出産にあたって血の穢れを取り除く守護神として祀られていたそうです。

　なかなか子宝に恵まれない人を救うともされています。

　更には相思相愛にまでご利益があるという説もあります。

「パーフェクトではありますわね」

　そう……とてもパーフェクトではあるのですわっ。

「でも、地味ですわね」

　思いっきり、突っ込んでくださいましたことですわっっ！

　でもＫ２様。

　わたくし思うのですけど、地味だからこその、開運なのですわ。

　トイレの掃除の魅力は、まず何と申しましても、その手軽さ。

　トイレのないお家はないですから、思い立ったらすぐ実行できます。

　そして、簡単にできる。

　家の掃除は時間がかかるものですが、トイレ掃除だけでしたら、そんなに時間はかかりませんわ。

　つまり、手軽に気軽にできて、ご利益は広範囲。

　かなり、コストパフォーマンスは高いと思われます。

「で、効果はどうなんや？」

　そして、Ｌ様再登場！！

「あら、早かったわね、Ｌちゃん」

　Ｌ、Ｌ様戻るのお早くありませんか⁉

「本当に。どうしたの？」

「早いもなんも、Ｋ２ちゃん、あんたの子、ずっとあっちの方におったで。何か、壁に隠れて、じーと、こっち見とったで」

　ひいいいいい～～～！　何か怖い、怖いですわっっっ！

「まあ、あの子ったら。それならこっちに来れば良かったのに」

　そうして、天使のように優し気に微笑まれるＫ２様。

　混沌（カオス）ですわ。カオスも良いところですわっっっ。

「そうもいかんのちゃう？　『敵に姿を見せるわけにはいかぬ』って言っとたから」

　すいません、敵ってだれですか⁉

「まあ、それよか早く教えてや。トイレ掃除の効果、あったんか？」

　あいかわらずの直球ですわねっっ！

　ですが、これ以上読者の方をお待たせしてもいけないことも事実！

　率直に申し上げましょう！

　わからないです ！

「率直すぎるわっっっっ！」

　あ、やっぱりダメですか？

「私はあまり気にしないけど、それだけでは読者の方々にも不誠実じゃないかしら？」

　まあ、さすがにそうなのですが、でも、仕方がないですわ。

　本当に、そうとしか言えないのですよ。

「効果がないなら、どうしてこれが究極の開運方法になるの？」

　何か、Ｋ２様の目が怖いですっっっ。笑っていらっしゃいますが、殺気を感じますっっっ！

　まあ、でも、正直に申しますと、この場合、読者の皆様が期待しているような効果はありません。

　トイレ掃除をして、臨時収入が何十万も入ったりとか、イケメンの結婚相手と巡り合ったりとかは、ありませんでした。

　ただ、貰い物は増えたんですよね。

　ジャガイモとか、里芋とか、柿とか。

「ほう。良いでないの？　うちはお金より、そっちの方がうれしいで」

「まあ確かに、お金なんていざと言う時は、役に立ちませんわね」

　……重い……重いです。

　この方々の人生を鑑みるにつけても、この言葉は重すぎますわっっっ。

　と、とりあえず頂いた物は、すべて料理させてもらいましたわ。

　けっこう色々と新しい調理にもチャレンジできて、楽しかったです。

　いただいた柿を作って、干し柿にもチャレンジしようかと思っているところですわ。

「なるほど、そういうことかいな」

　あれ？　Ｌ様が何か納得されて、頷かれています。

「あら。Ｌちゃん、何か気が付いたの？」

「こん人の言うこと聞いて、気が付いたわ。　トイレ掃除の効果は、ずばり、安定感や！」

　―はっ？

　あ、安定感ですか⁉

「そうや。トイレ掃除をして、あんたが手にしたんは、安定感や。なるほど、この体験記を終了させようと思っただけはある。あんたは、リア充になったんやな」

　いや、リア充も何も、お金もあいかわらずありませんし、彼氏もできたと思ったら離れたりと、続きませんが……。

「でも、何もしてないとはちゃうやろ？」

　まあ、努力はしていますよ。

　婚活のために、ヘアスタイルのアレンジを毎日練習したり、婚活パーティーとかにもいったり。お金も投資信託始めましたしね。

「やっぱりリア充していますわね」

　Ｋ２様までっっっ！

「リア充と言うのは、何も彼氏がいるからとか、お金を持っているとか、そう言うことで図るものではないわ。何かを持っていないと『リア充』じゃないと言うのは、それこそ、『エセ充』よ」

　エセ充っっっっ！　

「大切なのは、今の自分の現状をきちんと受け入れて、それからどうすれば良いのかを考えて行動できるか、と言うことよ。それができている人だけが、『リア充』と言われる状態になれるのじゃないかしら」

「そうやなあ。旦那さんが嫌いや、別れたいと言い張っている方が、私を開放しているかっこいい不倫相手を探してるんや、とか言われたら、『それちゃうから』って突っ込みたくなるわなあ」

「それそ、絶対違いますわね。それは、エセ充ですらない、逃げ充ですわ」

　Ｋ２様、さらにかっ飛ばしていますっっっ！

「まあ、ちょっと横道に逸れてしまいましたけど、大切なのは、今の自分を受け入れて、そしてそれに合った方法で、未来に向かって歩いて行くことや」

　干し柿を作ることがですか⁉

「与えられた物を素直に受け取り、それを生かすことができている証拠やないの。大切なことで。与えられる物は無視して、文句ばっか言っとる者には、何時まで経っても安定感なんかあらへん。旦那さんが嫌いやと思う人は、どうして旦那さんが嫌いなんか、その原因をきちんと考えるべきや。そして、どうしても譲れへんと思うなら、自活するために、自分のお金を稼ぐようにするのが前提や。不倫なんぞしてる暇があるんなら、そうしたらええのに、上手くいかんで文句ばっかり言うとったら、そら、人生つまらんわ」

　Ｌ様も容赦なしです！

「簡単に言えば、トイレ掃除をすれば、自分の状態が見えて来て、現状に合った開運方法が分かって来るということかしら。これは前回の「物を捨てる＆掃除する」ことについても言っていたことだけど、トイレ掃除はすぐにできる分、手軽さがありますわね」

　しかも、Ｋ２様はまとめに入っているし！！

　まあ、でも。

　お二方と言う通りなのかもしれませんわね。

　それにトイレ掃除は毎日しなければならないもの、どうせやらねばならぬことならば、開運に繋がると思ってやった方がやりがいもあると言うものです。

　開運方法は様々にありますが、結局一番大事なのは、自分の気持ちなのかもしれません。

　そういった意味では、この体験記の一番伝えたかったことは、お二方が言うようなことなのかも―

「ちょーと待たれい！」

　あ、やっぱり出てこられましたか。

　ってか、Ｋ様、か、肩に手が載っていますがっっっっ！

「お待ちくだされ~ぬ」

　そ、そして、Ｋ３様まで……！

「わたくしもいるわよ」

　Ｋ、Ｋ子様！

　な、何か皆さま勢ぞろいですわ！

「あれ？　Ｍちゃんはどうしたんや？」

「あの方は、意気地のない方ですから、わたくしを見て、泣いて帰られましたわ」

　Ｋ子様、相変わらずの容赦なしです！

「でも、残念ですわ。ここは、もう〆てしまわれるのですね。わたくしも、ここに来てとても楽しかったのに」

　いえ、Ｋ子様。これで全て終わりということではありませんわ。

　確かに、この体験記はここで区切りを付けます。ですが、この体験談がある限り、皆様とは何時でも会えますわ。

　あなた様が書かれた物語の中で、あなた様に会えるように。

「それでも、わたくしは、性はＮ、名はＫ！納得できませぬぞ！」

　いえ、納得してくださいませ！

　でないと、わたくしは、確実にあなた様の背後の方に殺されますっっっっ！

　でも、Ｋ様。

　あなた様と一緒にこの体験記をやって行けて、わたくしとても楽しかったですわ。

　これからも、お付き合いよろしくお願いします。

　この体験談がある限り、あなた様にもまた何時でも会えますわ。

「これも、また一つの区切り。気持ち良く送り出しておあげなさい」

「お屋形様……。でも、やっぱりわたくしは、嫌です」

　すいません、そのお言葉大変うれしいのですが、背後の方の殺気が怖いです！！！

「大丈夫や。また会える。と言うか、何時でも会えるやろ。だって、うちらはここにいるんやから。会いたくなれば、いつでも会える」

　はい、そうですわ。

　Ｌ様。

　それはこの体験談を読んでくださった皆様にも、言えることですわ。

　この体験談を必要とされる方、必要とされなくなった方、様々だと思います。

　でも、あなた様が必要とされた時、わたくし達はここにいます。

　どうか、それまではお元気で。

　楽しい開運ライフを送ってくださいませね！