第4話

「早速本題に入るけど、結穂。もう一回僕のピアニストになってくれない?」


「それは…………出来ない。」


「そう言うと思ってた。」


「忘れようとしても、忘れられなかった。心のどこかに常にいてさ。」


「じゃあ、戻ってきてよ。」


「そう出来たらいいのにね。」


「出来るよ。出来なくてもさせる。」


「私には今の生活が心地良くて捨てがたい。来蘭への恋心を抱きながら来蘭のピアニストであるほど若くない。それが報われない恋なら尚更。私は戻りたくない。」


「無理に戻れとは言えないし言わない。それは結穂の人生だから。けど今連れて帰らないと後悔する。大好きだよ結穂。帰ろう。」


「それは、友達としてでしょ。」


「分からないから分からせてよ。事実、結穂がいない間ずっと結穂のこと考えてた。考えるだけで胸が苦しくなって、どうしようもなかった。」


「…………そこまで言うなら、帰ろう。」


「話はついたみたいだね。こちらも色々手続きがあるから半年後ぐらいからかな。」


「もっと短く出来ないの?僕、待ちきれないよ。」


「最短4カ月といったところか。結穂さんの準備もあるだろうし。」


「アパートの契約が5カ月で切れるのでそのタイミングでしょうか。」


「よし決まり!」

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