その本から予想外の結末
不労つぴ
前編
「つぴちゃんこれを見てくれ!」
昼休み、僕が本を読んでいると友人のマサトから声をかけられた。
マサトは小学校のときに転校してきて、中学に入っても週末一緒に遊ぶくらいには仲が良い。
「一体今度は何を持ってきたのさ」
僕は呆れながら聞く。
前回、マサトが持ってきたマイナスドライバーは、クラスの男子たちによって誰が一番床に突き刺さるか競争するための道具となった。
一度床でバウンドしたドライバーが、クラスメイトの顔に突き刺さりそうになった場面に冷や汗が止まらなかったのを今でも覚えている。
「じゃーん!これだよ!」
マサトが取り出したのは某週刊少年誌のような漫画雑誌だった。
ただ一点だけ目を引くところがあるとするならば、その表紙に半裸の少女が描かれているということで――。
「いや、それエロ本じゃん!?」
僕は叫んだ。今まで河原で拾ったこともなかったので、人生で初めてエロ本なるものを目にしたのだった。
「へへっ。兄ちゃんの部屋に置いてたから持ってきたんだ~」
「きっとお前の兄ちゃん今頃泣いてるよ……」
会ったことはないが、マサトには大学生の兄がいるという。
弟に勝手に雑誌を学校に持っていかれたと知ったら、マサトの兄は一体どういう感想を抱くだろうか。
マサトから渡されたおそらく成人向け雑誌をペラペラとめくるが、すぐに雑誌を閉じる。
ほぼ全ページがそういうシーンだったからだ。
表紙だけアレな可能性も考慮していたが、当然そんなわけもなく普通のエロ本だった。対戦ありがとうございました。
「なにしてんのー?」
友人のヒロキだった。
マサトはヒロキに雑誌を「ほらよ」と手渡すと、ヒロキは興味深そうに目を通し始めたと思ったのも束の間。
――彼は突然雑誌を手に取り、走り出した。
そして、クラス中の男子に
「エロ本だぞ~♡」
とはしゃぎながら見せびらかし始めた。
多感な時期ということも相まって、クラスの男子たちは集まって面白そうにそれを眺めていた。
――が、すぐに飽きたのか男子たちは雑誌を使ってサッカーを始めた。
…………なんで?
「俺のエロ本がああああああああああああ」
マサトは叫びながらサッカー会場に向かった。
僕はやっぱり男の子はみんなスポーツが大好きなんだなぁ――なんて思いながらその光景を見ていた。
結局、サッカー大会は昼休みが終わる前まで続いた。
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