第16話 物理学者のクラス分け
レインに王都案内をしてもらったのが昨日で、今日はクラス分け発表の日。
「同じクラスかなー、ドキドキするね」
「流石に大丈夫だろ。メティも頑張ってたんだしな」
「うん!自信持ってみることにするね!」
お互いの受験番号…を、あった。
よかった、1クラスだ。クラスは合計で6クラス。国中の子供を集めるという割には少ない…ってことではない。1クラスは50人、6クラスは250人。下に行くほどクラスの人数が増える。理由は簡単で、6クラスに行く人は文字を書くのも読むのもそんな簡単じゃない人たちが集まから、集団で授業やった方が効率がいいのだ。と…、村長が言っていた。村長すごいな、詳しすぎるだろ。
「私もルイも1クラスだね!よかったーー」
「そうだな。このまま教室に向かうか」
「はーい」
予想通りというか1クラスの教室に着くとそこにはあの2人がいた。
「おや、やっぱ1クラスだったね。よかった、これからよろしくね」
「よろしく…」
「レインにキルアさん、よろしくね」
「よ…ろしく…」
席は自由らしく、大学の講義室のように繋がっている机に4人で並んで座った。
ゾロゾロと生徒が教室に入ってきて、最後に先生が入ってきた。
「とまぁ、1クラスのやつは全員集まったかな?じゃあ、これから1年よろしくな。俺はテイル・オスカー、オスカー先生とでも呼んでくれ」
オスカー先生…は、およそ35歳ぐらいだろうか。それぐらいのなんともまぁ体調の悪そうな顔をしている先生だ。
「あぁ、それでなんだ、この学園のルールで一番大事なのがあんだが…知ってるか?」
生徒の顔を見渡してからレインに焦点を合わせる。
「よし、じゃあレイン答えてみろ」
「はい。この学園で一番大事なルールは魔法を人に使わないこと。たとえ回復魔法であっても教師からの許可を得てから行使すること、です」
「正解だ。魔法は人に攻撃する手段じゃない、でもまだ未熟なお前らは同年代が集まった学園の中じゃカッとなって魔法を使っちまうかもしれない。その時は仕方ない、決闘をしてもらおうじゃないか」
決闘…?なんだそれは。
今初めて聞いた言葉、ここにはそんな校則が用意されているのか…。
「まぁ生徒同士の喧嘩を見えないとこじゃなくて教師の見えるとこでやってもらうためのルールだ。どうしても気に食わないことがあったら決闘を学園側に申請しろ、両者に決闘の意思があれば受理される。わかったか?俺らの目がないところで人に魔法は使うなよ、簡単に人が死にかねないんだからな?」
魔法が当たり前にある世界は銃をみんなが持ってるようなものだからか、かなり人に使うなと強調してくるな。とは言え人に使うことをあんま考えていなかったから、決闘か…面白いルールだな。
「ねぇねぇ?」
「どうしたのメティ?」
「ルイって魔法使えないけど…、決闘でどうなるんだろうね?私が代わりになれたりしないのかな…?」
「あー、たしかに…」
俺は魔法が使えない。理由はいまだに分かってないし、魔法を一切使えないって事例はどうやら俺以外にないらしい。
そうなると1対1の決闘に関しては圧倒的不利だ。紙に魔法陣を書いて行使することはできるが…、決闘中にそんな時間があるわけないし…。
「というわけで今日は説明だけだ。あとは自己紹介でもするか?50人もいるしめんどいか、いいや。えーっと、重要なことは言ったしもういっか、明日からは授業あっからなぁはい今日はお疲れ〜」
そのままぬるりと授業というより先生との顔合わせが終わった。
「オスカー先生に急に指されるとは思わなかったなぁ」
「レインもよく答えられたな」
「学園に限ったルールじゃないからね、皇室とか…例えばね、そういうルールあったはずだし」
「レインが知らないことなんて…ないわ…」
「僕のことを買い被りすぎるのは悪い癖だぞ、キルア」
「事実を言っただけ…」
教室から先生もいなくなり、生徒もちらほら出て行っている。んーー、正直することがないが…。まぁ学園のルールっていうのを調べてみるのはいいかもしれない。
「そんななんでも知っているレイン君に質問があるんだけど」
「ルイスまで乗らないでくれ…、それで?」
「図書室みたいなとこはあるのか?」
「あぁ…、あるね。本がたくさんあればいいんだろ?案内するよ」
「ありがとう」
「キルアはどうする?ついてくるか?」
「んー、メティスと仲を深めてもいい…」
「あぁ、いい提案だね。どうだい?それぞれ別行動っていうのは」
別行動、メティとは学園に来てからどころか一緒に暮らしてから別行動なんてほとんどしたことがない。今のメティを1人にするのは…怖かったからだったが…。
「メティはどうする?俺もどうせ本を読むだけだし、キルアさんと学園でも見て回る?」
「カフェとか…色々楽しいとこある…」
「だってさ、やっぱ俺と行動する?」
「…。頑張る…、キ…ルアさん、よろしく…」
「ふふ、名前を呼んでくれた…。メティスはいい子、一緒に行こっか」
自分から俺と別行動をすることを選んだのはいい兆候だ。このまま人と普通に接せるようになってくれたら嬉しい限りだな。
「じゃあ、僕も案内しよう。ついてきてくれ」
「わかったよ、ありがとうな」
「これから長い付き合いになるんだ。これぐらいお安いご用さ」
そのままレインについて行った。メティのことはもちろん心配だが、キルアさんはきっとメティに無理をさせないだろう。そう思えるぐらいにはレインとキルアさんを信用している。
そしてその信用に間違いがないとわかった。メティとキルアさんだけで行動をしたが、どうやら楽しめたらしい。カフェが思ったよりオシャレだったり、デザートが美味しかったりと感想を言ってくれた。
「それでねそれでね、カフェ以外にもなんか魔法の練習できるとことか、運動できるとかあったんだよ!」
「学園内もかなり設備がしっかりしてるんだな」
「すごいよね、案内ぐらいしてくれてもいいのにねー」
学園内の設備を一切説明しないのは前世の大学も同じだったなぁとか考えながら、メティが俺がいなくても楽しめた事実を喜ばしく思っていた。
「俺がいなくても楽しめたのならよかったよ、キルアさんには感謝だね」
「ルイがいなくないと楽しくないよ?なんで?」
「え?だって一緒に行動してなくても楽しめたから…」
「違うよ、私はルイにあったことを言うのが楽しいの。確かにキルアさんといて楽しかったけど、ルイがいないと全然楽しくないよ!だから…俺がいなくてもとか言わないで…?」
この子は子供の頃に両親がいなくなって、俺に依存した少女だ。俺がいなくてもって言葉でここまで突っかかる必要はないだろ…なんて、言えるわけもない。俺からしたらポッと出てきた何気ない言葉だったけど…。
「ごめんね、次からは言わないよ。キルアさんと楽しめたようで良かったよ。俺にどう言うところ行ったか教えてくれないかな?」
「うん!」
そのままメティは嬉しそうにキルアさんと一緒にどこに行ったとか何があったとかと教えてくれた。そんな姿がやはりとても可愛らしく見えた。
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