第3話 君との関係

「私のこと知りたいって知ったっていいことないと思うよ」

そう言って、美月は下を向いてしまった。

「そんなことはないと僕は思う、僕は、、」

そこで、僕の言葉は止まってしまった。

(なんで、美月のことを知りたかったのだろうか)

確かに、始めは不思議な人でどんな人か気になっていたがなぜ知りたいかと聞かれると言葉が詰まってしまう。

「じゃあさ、僕と友達になってくれないか?」

「友、達ね」

そう言うと、美月は下を向いて泣き始めてしまった。

「美月、大丈夫?」

そう言っても、彼女の涙は止まらない。

僕は彼女の背中を撫でることしかできていなかった。

そっと、撫でていると美月は手で涙を拭い上を向いた。

そっと僕の方を見て聞こえるか聞きこえないかの声でつぶやいた。

「ねえ、中村くん、君は、なんでそこまで私を気にかけるの?」 

僕に対しての問いかけで、その声には疑問とそれと同じくらい、疑いを孕んだ声色だった。

「僕は、始めは不思議な人でどんな人なんだろうと興味本意で話してみて、それからもっと興味が出てきて、君と仲良くなりたいと思ったんだ」

そう、自分が思っていることを全て吐き出した。

美月は、また下を向いて話し始めた。

「私は、人が怖くて話すだけでも気持ち悪くなってしまうの。でも君はなぜか近くにいても、話していても、怖いとは思わなかった。

不思議だよね」

「美月は人が怖いのか?」

「うん、前に色々あって、そこから人が信じれなくなったのかも、でも、君はさっきからいい人ってわかったから大丈夫」

美月の顔に笑顔が少し見えた気がした。

「なあ、その人嫌い、治さない?僕と一緒に」

「えっ?」

僕の言葉に美月も自分自身も驚いていた。

(何いってんだよ!こんなの絶対変に決まってるだろ!)

「君が私の人嫌いを治してくれる、の?」

「いや、君が良ければだけど、手伝いができたらなあって、、」

なんとか、思いついたことを並べたがその本心は美月の人嫌いを無くしたいことだった。

「君が一緒に手伝ってくれるなら、私も頑張ってみようかな、だから、ちゃんと私のこと見ててよね」

そう言って美月は頷いた。

「ああ、これからよろしく」

「なんか、告白みたい」

美月はその時、僕が見た中で一番の笑顔だった。

(美月がこれからこの笑顔を絶やさず生活できるようにしてやりたい)

そう、心に誓った。



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君の笑う顔が見たいから @Haruarare

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