私の彼氏は幽霊さん
たこあぶり🐙👊
死んじゃった……?
私は今、彼氏の葬式にいます。彼氏は数日前に交通事故で亡くなってしまいました。聞いた時は涙が止まらなかった。でも、今は全く涙が出ない。なぜなら
――目の前に彼氏がいたから。
「……は?」
いやいやいやいやちょっと待て、なぜいる?え?死んだよね?なに、幽霊なの?えっ怖。てかお坊さんの頭つつかないで?
私の彼氏、レオは死因が交通事故ということもあってかなんとも痛ましい姿で浮遊していた。
私はパニックで泣くどころの話じゃなく、レオの親戚の人からは冷たい目で見られてしまった。
まあ、そんなこんなで葬式を終え、家に帰ってきたら……
後ろに憑いて来てる。
……えー、急に……?ていうか私、実家暮らしだし。こ、これは見えないふりをした方がいいのか?……見えないふりをしておこう。
その時、母親の声が聞こえた。
「そろそろご飯できるわよー!早く手を洗いなさい。」
「はーい!」
急いでご飯を食べに階段を降りる。だがいつもよりも足が重い。
ご飯を食べると涙が出てきそうになる。
あー、ご飯が美味しい。心にくる。
レオはやっぱり私の近くにいたままだ。
うう……そんなに食べたそうな顔で見ないで……
「ねえ、ユカ。」
母親が話しかけてくる。
「なに?」
「その、こんな事言うのもあれだと思うんだけど。ユカが帰ってきてからずっと誰かがいる気がして……」
それって……
母親は何かを見つけたような素振りを見せる。
「いや、やっぱり大丈夫。気のせいだったみたいね。」
母親は青ざめた顔で言う。大丈夫かな……まぁ大丈夫か。
ご飯を食べ終え、部屋に戻る。レオは相変わらず私についてくる。うーん、やっぱり気になる……
勇気を出して話しかけることにした。私の幻覚じゃなければいいが……
「ねぇ、なんで、その……いるの?私、レオのこと見えてるんだけど……」
そう言うとレオはとても驚いた顔で何かを喋っていた。でも何も聞こえない。彼自身も驚いてるみたいだった。
「喋れないの?」
レオは必死に首を縦に振る。所謂、死人に口なしというやつだろう。
「うーん……紙に書いたりは?」
紙とペンを差し出した。レオはペンを手に取る。あ、書けた。
「できた!これで会話できるね!」
レオは心做しか嬉しそうだった。
ありがとう。こんな形で再会することになってごめんね。僕もなんでいるのかは分からない。多分心残りが多すぎたのかな。ユカのことも心配だったし。
そう、レオは書いた。
「もう!そんなこと、言うなし……」
なんだか涙が出てきた。
レオは私を抱きしめようとした。だけどレオの手は私をすり抜ける。やっぱりレオが死んでしまったという現実は変わらないらしい。
「まぁ、でもこれからは死んでも一緒だからね!……ってあれ?レオ?」
いつの間にかレオはいなくなってしまった。成仏してしまったのだろうか。
「………………まぁ、会えただけでもいいのかな。」
彼が望んで成仏できたのならいいが。
その日は、上手く寝付けず日が登り始めてから眠りについた。
そして、目が覚めるとレオが枕元に立っていた。
「…………ぎ、ギャァァァァァァァ!!!!」
私は女の子らしくない化け物みたいな悲鳴をあげてしまった。肝心の彼はというと、くすくすと笑っていた。
「もう!びっくりさせないでよ。ていうか成仏したんじゃないの?」
レオはムッとした表情で
かってに成仏したことにしないでよ。ユカが死ぬまでは絶対に一緒にいるから。
僕のことが見えなくなる理由は多分、ユカの霊感?弱いんじゃないかな。それを僕の怨念でどうにか見えるようにしてるって感じかな。前アニメでそんな感じの見たから。
でも、いつ僕が見えなくなるかは僕にも分からない。
そう書いてある紙を見せてきた。アニメの話を信じて大丈夫か……?
「わかった。もう、勝手にいなくならないでね。」
こうして、私とレオの奇妙な同棲生活が始まった。
私の彼氏は幽霊さん たこあぶり🐙👊 @takoaburi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の彼氏は幽霊さんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます