罰ゲームじゃないよ

輝人

第1話 指の止まるLINE

「ねえ、輝人。負けたら罰ゲームね。」

華乃が笑いながら言った。


昼休み、俺たちはいつものようにLINEで話していた。俺の学校と華乃の学校は違うけど、こうやって話してると距離なんて関係ない気がしてくる。


「罰ゲームって何やんの?」

「んー、そうだなあ……負けたら、"好き"って言ってもらうとか?」


一瞬、指が止まる。


「それって罰ゲームなの?」


そう返した俺に、華乃は「さあね?」とだけ送ってきた。


———

その日の夜、俺たちは通話をしながらゲームをしていた。いつものように笑い合って、くだらない話で盛り上がる時間が、何より楽しかった。


結果は俺の負け。


「じゃあ、罰ゲームね。」

華乃の声がちょっとだけいたずらっぽく弾んでる。


俺は迷ったけど、なんだかもう隠してるのがバカらしくなって、思い切って言った。


「……華乃、好きだよ。」


少し沈黙があった。


心臓が跳ねる音が聞こえそうなくらいドキドキしてると、華乃が小さな声でつぶやいた。


「……罰ゲームじゃないよね?」


その一言が、胸にじんわりと広がった。


「うん。罰ゲームじゃないよ。」


その夜、俺たちはいつもより長く話して、気づいたら寝落ちしていた。


スマホの画面をつけっぱなしのまま、俺も華乃も、安心したように眠っていた。


———


翌朝、LINEを開くと、華乃から短いメッセージが届いていた。


「おはよう。昨日の「好き」、ちゃんと聞いたからね。私も、罰ゲームじゃなくて言いたい。……輝人のこと、好きだよ。」


スマホを握りしめながら、俺はもう一度笑った。


——罰ゲームじゃない、本当の気持ちをくれた華乃に、もっとちゃんと伝えよう。

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