第27話 大人になると伏せてしまうよね

「いやぁ〜お見事お見事!今日の大盛況っぷりは見てて寧ろ清々しかったよぉ〜♪お見それしましたシャイニングフローマート!」




あっさりと負けを認めたと思えば美術さんは理科さんの目の前に行く。




「今回の発案理科くんでしょ?やっぱり理科くんの遊びはユニークだねぇ♪男に二言はないからね、コンビニはあっさり撤退しますよ♪次の遊びはもう考えてあるんだから♪」


「はぁ!?お前ー!まだ俺達にちょっかいかけるつもりッスか!」


「過労死しろってか!?俺に過労死ライン超えろってかぁああ!?労基に訴えるぞボケェ!」



英語さんと国語さんが猛追するも美術さんは気に留めていない。僕も手に汗握る。この人、きっと…




「理科さんを自分のところに戻すまで、こんなことするつもりですか…」




美術さんが僕を見た。





「当たり前でしょ?優秀な科学者は優秀はクリエイターと共に華を咲かす。俺達が一緒にいるのは必然だから」


「またふざけたコト…」



数学さんも呆れる。そんな中、理科さんが口を開いた。





「美術、僕はあの頃に戻るつもりは一切無いよ」




美術さんの顔が強張る。




「人を不幸にする“遊び”なんて少しも楽しくない。美術だって本当はわかってるんだろ、僕たちが昔心から楽しんでたのは…「何で…」



理科さんの言葉を美術さんが遮る。




「何でそんな馬鹿げたこと言うわけ?何であの時も今も…理科くんてこんなにつまんない人間だったんだぁ!」



言い捨てるように美術さんが言葉を放つ。でもそれはとっても空虚で、中身のない空気法のように効力を成さない。理科さんの眉が歪んだ。









「ごめん」









理科さんが頭を下げた。僕たちはその様子を見つめる。




「何…認めてんの…」


「ずっと前、お前を止められなかったことについてだよ」


「…!」


「僕はずっと後悔してた。僕に楽しいを教えてくれた、籠の外の世界を見せてくれた、遊びを教えてくれた。美術、お前が刺激を求めて言ってはいけない方向に行ってたのに、僕は…お前の腕を引き戻すことができなかった…手を離してしまった」




美術さんの瞳が揺れている。




「…何を、偽善者、みたいな…」


「そう、僕は偽善者だ。友達としてお前に向き合うことができなかった」


「!」


「僕はただ…友達としてお前の隣にいたかった。だから今度はちゃんと友達として…お前を、今度は僕が、!この手を引いて連れ戻す!」




理科さんは力強く美術さんの手を握る。一瞬驚いたようにして手を払おうとした美術さんだったが、理科さんがそれを許さない。そうすると美術さんはだんだん力が抜けていくように俯いた。そして小さな声で、言った。




「どうして、僕の前からいなくなったの…?」


理科さんの目が見開かれる。




「どうして、僕も連れて行ってくれなかったの…」


「美術…」


「どうして…裏切、ったの…」




言葉を途切れさせながら紡ぐ美術さん。シン、とするその場。外でレジをする機会音とオーナーの声が無機質に聞こえた。


そんな中、はぁ〜〜〜〜という大きなため息が響く。






「お前さぁ、、負け認めんのと同じくらい自分の気持ち素直に言ったらどーなの?」

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