まあこれが私の人生なのです

第2話

「お電話ありがとうございます。〇〇広告の園枝そのえうけたまわります。」

コールは3回以内に、見えなかろうが相手にも『顔』が伝わるように笑声えごえを意識して、お客様や、他会社からの伝言はメモで簡潔にまとめる。最悪、自分で対応できない場合は、上司に代わってもらいます。

クレームなどは「私は悪くないな」と思いながらも、声色を変えて心から謝罪、必ず上司に報告、電話が済んだ最後、お礼の言葉と念のためもう一度自分の名前を伝える…。

コール係のマニュアル通り。

気取った自分の声が気持ち悪いなんて、数年もやってたら、もう気にもしなくなった。

今日も同じようなことの繰り返し。

大崎おおさきさん、こちら〇〇社の鷹城たかじょうさんという方からこないだの広告についてなのですが。」

「ありがとね、那智香なちかちゃん。もう、メールで済ませてって言ったんだけどな…」

「大崎さんと直接お話ししたいそうで…」

「あははは、まじか…。ごめんね、変な電話取らせちゃって」


大崎乃春おおさき のはるさん、私が入社した時から妹みたいに可愛がってくれる5歳上のお姉さんみたいで尊敬してます。この会社の広告の凄腕デザイナーさん。


「大丈夫ですけど、今度きたら、大崎さん結婚してますよってハッキリ言いましょうか?」

「いいよいいよ。こっちが色々変なこと考えても仕方ないでしょ?純粋に話したいだけかも知れないしね。」

「下心しかないと思いますけど。」

「はっきりいうなぁ。」

「だって、大崎さんモテるのに、たまに抜けてるところあるから心配してるんですよ?」

「俺は、園枝そのえさんもだと思うけどね」

「私?なんかしましたっけ?」

「園枝さんも大崎さんもぼんやりしてるから、おじさんたちは心配なわけよ。」

「おじさんて、宇佐見うさみさん十分若く見えるじゃないですか。」


宇佐見孝次郎うさみ こうじろうさんは来年で50歳になるそうですが、見た目はワイルドでとてもおしゃれです。そのためかチャラク見られがちですが、中身は温厚なので、みんなのお父さん的存在。


「若く見えても、もう十分中身はおじさんなんだよ…。まあ俺から色々言っちゃうとセクハラになっちゃうんだろうけど、本当に二人とも、気をつけなね」

「「はーい」」


同じようなことの繰り返しで、すごく嫌なことがないわけじゃない。だけど、アットホームな環境で、結構自由にさせてくれる、この職場の雰囲気が好きなので続けていけてます。



「たっだいまぁ!」

「おかえり〜」

「ゆず〜!つっっっかれたよ〜!」

「本当にお疲れ様、なっち〜」

私、園枝那智香そのえ なちか、今年で25歳。何もない田舎から抜け出したかった。生粋の二次元オタクである私は、友人と二人で住むことをお互いの両親に許してもらえたおかげで、推しが近くで愛せる都会で働けている。

高校から仲の良い眞鍋柚季まなべ ゆずきは、アパレル店員でもあるが、スタイルも良いので読モをしている。

「ニャーオ」

「ミャーオ」

「ただいま、シャンキー、チャム」

ノルウェージャンと茶トラの2匹、愛猫との四人でシェアハウスをしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る