第2話

「海星、起きなさい」

「えっ・・・おはよう」

「どうしたの?」

 朝目を覚ますと一昨日まで見ていたいつもどうりの自分の部屋だった。

(昨日見たのは夢だったのか?)

「おはよーう」

 そこにはご飯を作っている母と朝ご飯を食べている父がいた。

 そして、中瀬家では基本的に食事中にテレビをつけないんだが、今日だけはテレビがついていた。

『2人を殺害している、連続殺人犯は今現在も逃走中で、箕面市に潜伏しているとの情報がありますので皆さんはお気お付けください』

「物騒ね」

「まあ、俺が捕まえるから大丈夫だよ。そういえば海星、昨日言ってた投資先に投資したんだがほかに良いところはあるか?」

(父は警察官だった。多分逮捕してくれるだろう。だが、なんの話だ?俺は投資に詳しくなんてない。最も投資になんて興味のかけらもない)

「なんの話?」

「とぼけるんじゃないよ、海星が投資をここにしたらいいと言ってきたんだろ」

「僕は投資とかよくわかんないよ。あと今日は何日?」

「今日は10日だよ」

「えっ・・今日は9日じゃないの?」

 「何言ってるんだ、さっさと顔を洗って目を覚ましてきなさい」

 そういわれると洗面所に行き、顔を洗った。

(どういうことだ、確かに昨日の出来事は現実味があったがそこまでリアルじゃなかった。第一清水が俺を好きになるなんてありえない話だ)

「そろそろ準備しないと本当に遅刻するわよ」

 「分かった」

 急いで準備をしながらいろいろなことを考えていた。

(まさか体と意識が9年後の俺と入れ替わってる?いや、そんなわけないか、そんな漫画みたいなこと)

「行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい」

 そうして、いつもどうり電車に乗りこむと・・なんと、清水がいた。

「お、おはよう」

「うん、おはよう」

(どうしよう、昨日のこと?を夢だと思いたいがどうしても気まずい)

 なんてことを思っていたが、彩華はこんなことを思っていた。

(きゃああ、海星君今日もかっこいい、やっぱり昨日家をどこか聞いておいてよかった)

 そう彩華は海星を劇的に好いていたのだ。

 そうして、気まずい空間で過ごしながら、学校についていた。

「おはよう」

「やあ、海君」

「お、おはよう」

「あれ、昨日とは全然性格が違うね。もしかして2重人格者?」

(あれ?どういうことだ全く記憶にないことが起きてる)

「いや、そういうわけじゃないんだけど。昨日は俺じゃないっていうかなんて言うか・・」

 海星が戸惑っていると、彩華が声をかけてきた。

「ねえ、中瀬君ちょっといい?」

「おい、清水が中瀬を呼び出してるよ」

「なんかあるんじゃないか?」

 クラスメイトがざわざわし始めた。

 この空気をすぐに消したかったからこの提案に応じた。

「分かった。一緒に行こう」

 そうして一昨日も来た屋上に来た。

「どうしたの?」

「昨日の君は君じゃなかったってどういうこと?」

「それは、ちょっと夢の中で未来に行ってたと思ったら現実の中でも、一日が経ってたから昨日は僕じゃないってこと」

「だから中瀬君がSFの中に入ったってことね。私が見た夢と一緒ってことね」

 最初は聞こえたが最後は聞こえなかった。

「えっなんて?」

「いやこっちの話」

「話はそれだけ?」

「いや、本題は別にあるよ」

「何?」

「私を彩華って下の名前で呼ぶのをやめてほしいんだけど」

「え・・・俺そんな下の名前で呼んだ記憶はないんだけどそれってどういうこと?」

「いや、昨日でも朝一に『おはよう彩華』って言ってきたから。それでクラスから注目を浴びちゃうじゃん。一昨日言った『普通の高校生活を送りたい』が出来なくなっちゃうじゃん」

「はあ……」

「何?」

 すごい形相で海星を見つめていた。

「いえ、これからは気をつけさせていただきます」

「うむ、よろしい」

(こいつはいつでもうちの担任に影響されてるよな)

 そうして教室に戻るとHRホームルームが開始されるまじかだった。

 そうして席に着くと担任の佐藤が教室に入ってきた。

「さあさあ諸君気持ちのいい朝だね。早速だが一週間後に君たちのクラスの中を深めるための二泊三日の宿泊行事があるが、勉強が目的みたいなそんな方ぐるしいものはない。ただ単純にクラスの仲を深めるものだ」

「「イエーイ」」

「それでは、班を決めてくれ」

「「はーい」」

 そうして、班を決めた。

(こんなはずじゃなかったのに)

 中瀬と清水が同じ班になったのだ。

「みんな、よろしく」

「よ・・よろしく」

「それでは、宿泊学習の概要を説明する。一日目は、野宿だ」

「えっ?なんでそんなことをする必要があるんですか?」

「それは、お前たちがいつ地震に見舞われてもいいように対策するんだ」

(そんな物騒なこと言うなよ)

 この教室にいる、佐藤以外が全員そう思った。

「それじゃあ、授業を開始していくぞ」

 そうして、何事もなく授業も終わり、家に着いた。

 「お帰り」

「ただいま」

「それじゃお母さん行ってくるから」

「うん、行ってらっしゃい」

(お母さんは看護師だ。午前中が勤務の時もあるし、午後(夜勤)の時もある。それは、お父さんの時も一緒だった)

 そうして、お父さんへの夜ご飯を作って、もう眠かったからさっさとベットに入り込んだ。

(昨日のことは、未来とかはもうやめてほしい)

 と、願いながら、静かに眠りについた。

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