氷と桜

@sakekasulaula

第1話 冬の国と春の国

登場人物


日本

・名:桜庭 湊(さくらば みなと)

・性格:冷静で礼儀正しいが、内心は負けず嫌い。相手を論破することに快感を覚えることも。

・見た目:黒髪に涼しげな瞳。華奢な体つきだが芯の強さを感じさせる雰囲気。


ロシア

・名:アレクセイ・イヴァノフ

・性格:傲慢で強引、勝負ごとに執着する。湊をからかうのが趣味。

・見た目:銀髪に氷のような青い瞳。長身で筋肉質、迫力のある存在感。




「またお前か、湊」


低く響く声に、湊は振り返る。そこには長身の男アレクセイが立っていた。雪のように白い銀髪が微かに揺れ、鋭い青い瞳がこちらを見下ろしている。


「…ロシア。何の用だ?」


湊は微かにため息をつく。会えばいつも対立する彼とは、これまで幾度となく衝突を繰り返してきた。領土問題、経済摩擦、軍事圧力、二人の関係はまるで氷と炎のように相容れない。


「そんな冷たい顔をするなよ」


アレクセイは愉快そうに笑い、湊の頬に手を添えた。その大きな手は氷のように冷たく、しかしどこか熱を孕んでいる。湊は微かに身じろぎしながらも、振り払わなかった。


「俺はただ、お前がどれくらい俺に逆らえるか試したくなっただけだ」


「…くだらない」


「くだらなくないさ。俺はお前がどこまで耐えられるのか知りたいんだ。」


アレクセイは挑発的な笑みを浮かべ、湊の顎を指で持ち上げる。睨み返そうとしたが、彼の視線があまりにも強く、思わず息を飲んだ。


「くっ…離せ」


「嫌だね。お前のその強がる顔、もっと近くで見せろよ」


湊は歯を食いしばる。アレクセイの存在は強すぎる。まるで全てを支配しようとする暴君のようで、湊はそれに抗うほどどこか彼に惹かれてしまう自分を感じてしまう。


(こいつには負けない…絶対に)


しかし、次の瞬間一一唇が触れ合った。


「っ!?」


アレクセイが躊躇なく湊の唇を奪ったのだ。冷たいくせに熱い、矛盾した感触に湊の思考が一瞬、停止する。


「…悪くないな」


低く囁く声に、湊は顔を赤らめながら拳を握った。


「このっ……!」


「ははっ、やっぱり怒るか。いいね、その顔」


アレクセイは満足げに笑を離した。だが、その瞳にはまだ獲物を逃がさないという光が宿っていた。

湊は唇を抑えながら、悔しさを滲ませる。


(ロシア、お前には絶対屈しない……)


だが、その誓いとは裏腹に、体の奥底が熱を帯びているのを自覚してしまっていた。




continue…

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