『ヒーラーさん』のしたいこと
詩森右京
第1話
「え……? 新米ヒーラーと討伐依頼に?」
困惑した『タンクさん』や他のパーティーメンバーらに、そこをどうにかとお願いする冒険者協会の『受付さん』は言葉を続ける。
「他にいない訳じゃないけど貴方たちのパーティーが適任だと思って」
それもその筈『タンクさん』たちのパーティーからは、この間おじいさんな年齢のヒーラーが定年退職したのだ。しかし。
「俺もまだまだなんで新米だと守りきれる自信がないんだが……」
「確かに新米のヒーラーの初仕事なら熟練のタンクの方にお願いするのが恒例だけど……彼なら大丈夫よ!」
「──え?」
何故かと理由を聞こうとする間もなく『受付さん』はどこかへ行ってしまう。
そしてすぐに戻って来る。『ヒーラーさん』を連れて。
「彼こそ新米ヒーラーの『ヒーラーさん』です! 仲良くしてあげてね!」
「よろしくお願いします」
──え、可愛い。
──ふわふわした感じの美少女じゃないかよ。
──命に変えても守らなきゃ。
なんて煩悩を『タンクさん』が炸裂させてる最中、『受付さん』が『ヒーラーさん』に自己紹介を促す。
「僕の名前は『ヒーラーさん』です。趣味は喫茶店巡りで、特技は女装です」
違和感よりも脳が最後の方の言葉を受け入れないより認めたくない『タンクさん』の傍で『受付さん』が『ヒーラーさん』にツッコミを入れる。
「違うでしょ、どんな魔法が得意か言いなさいな」
「基礎回復魔法は勿論と、バリア系の魔法が得意かな?」
──バリア系ヒーラーか。新米でも頼りになりそうだな。
──でも。
──俺の性癖どうなっちゃったんだよッ!!
男と知ってもなお未だにときめいてる『タンクさん』がそこにいた。
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