資料室編
ここは会社の資料室。
愛ちゃんが、1人で入っていくのをみて後から僕も入って、後ろ手で鍵を閉めた。
カチャリという錠の音に反応した愛ちゃんは、びっくりしたように後ろを振り返って、僕の姿を確認するとふわりと微笑んできた。
「ひろ…部長でしたか。何か確認する資料があったんですか?」
「うん、そうだね」
僕も笑顔で愛ちゃんに近寄ると、愛ちゃんが背伸びをして取ろうとしていた資料を取って、愛ちゃんに渡した。
「わあ!ありがとうございます…。なんかこれ…えへへ。なんか、TLみたいで…いいですね。」
ほんのり頬を紅潮させて愛ちゃんがそう言った。
「TLって?」
「あ…っ!えっとティーンズラブって言って、ちょっと大人の小説とか漫画です…」
ティーンズなのにアダルトとは。
よくわからないジャンルがあるんだな。
「えっと、もう資料もらったから…その…近付かなくても…」
「うん」
照れて離れて欲しそうにする愛ちゃんが可愛くて、もう少し意地悪がしたくなった僕は更に顔を近付けると唇すれすれのところで話した。
「なんで鍵を閉めたかわかってるよね?」
「…っ」
恥ずかしいふりをしたいんだろうけど、目の中に光ってる期待の色が隠せてないよ。
「職場では、しないって言ってたのに…」
「しない?何をしない?」
「こっこうやって…キスとか…しようとしないよね…」
「キス?するの?今からここで?」
「もう!!」
更に真っ赤になって愛ちゃんが僕の胸を、資料を持ってない方の手で叩いてきた。
おかしくて、声に出して笑ってしまった。
「キスしないならなんでこんな近くで話してるの!しかも鍵まで閉めて…」
「うん」
僕は顔をどけずに愛ちゃんを見つめたまま愛ちゃんの髪に指をいれてスッととかしていった。
「ふふ…くすぐったいなぁ」
愛ちゃんは心地良さそうに笑った。
この子は本当に大人なんだろうか。
たまに少女にしか見えない時があるから不思議だ。
「もう、遊んでる暇はありませんよ部長。早く戻りましょう」
僕のネクタイを少し引っ張って、愛ちゃんは僕を見上げるように見つめ返した。
「おかしいね。キスしてって顔に書いてあるんだけどなあ。しかもネクタイまで掴んで、僕を動けないようにして。」
「なんで全部言葉にするのっ!」
からかいがいのある愛ちゃんが本気で恥ずかしがったから、僕はやっと笑うのをやめて触れるだけのキスをした。
「!?」
して欲しかったくせに、愛ちゃんが面食らった顔で僕を見た。
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