第4話 ウイルス

ファクトリーバーガーでいつものセットを堪能した俺は、シフトから上がった成美と合流した。








ポニテのまま、制服は着替えて私服の幼馴染がそこにいた。








「お待たせ」




「そんなに待ってないよ」








そういって、俺はヘルメットを彼女に投げて渡した。




今はヘルメットは二つ常備している。








以前、彼女に俺のヘルメットを貸して、ノーヘルで運転したときに『隼人の匂いがする』と言われ。








臭いのかと気になり、それ以来彼女のヘルメットを用意したのだ。




実質、俺の後ろに乗るのは彼女だけだから、彼女専用のヘルメットだ。








「よいっしょ」




「すっかり慣れたみたいだな」




「何度も乗ってるからね」








最初はおっかなびっくりしながら、すごい力で俺にしがみついていた彼女も、今ではもう慣れたようにバイクにまたがっている。








「それにしても、ログアウトするのにもステーションまで行かないといけないの不便だよな」




「仕方ないわよ、なんだかんだいって……ここは現実じゃあないもの」








俺の言葉に彼女が答える。








この世界ではログインとログアウトをする場所が決まっており、現実ではログインは自宅などからできるが、ログアウトだけはこの世界のステーションでと決まっている。








こっちに入り浸ってる俺と違い、成美は現実世界に帰るのにステーションによるのだ。








「お前ももっと便利な近未来エリアで、バイトすればいいのに」




「……労働基準が厳格化されるの嫌だから」




「まあ、これぐらい緩い方がいいのか」








成美の回答に妙に納得しつつ、俺はバイクをステーションへと走らせた、








「!」








目の前が一瞬ぐんにゃりとした感覚がした。








「成美!掴まれ!」




「!」








この感覚には覚えがある——サイバー攻撃だ。








最近、あちこちで世界的なサイバー攻撃が無差別テロのように行われているという、




俺も成美もこれを経験するのは初めてではない。








「ヒャッハー――!」








ガラの悪いバイクに乗った集団が周りに現れた。かつて暴走族と言われた存在に似ている。








目的はイマイチわからないが、サバに負荷をかけつつ、そこにいる人員を無差別に攻撃するプログラムらしい。








俺は奴らに囲まれるよりさきに、壁を駆け上がりすぐさまウイルスから距離をとる。








成美がいないなら、奴らと一戦交えるのもありだが、彼女が背にいてはそうもいかない。








俺のバイクは特別性で、色々とモッドを詰んでいる。








壁走りモーションやら、エアダッシュモーションやらバリエーションに飛んでいるのだ。








壁走りから、隣のビルへエアダッシュをして、俺は奴らをまいた。








ステーションにつくと、我先に帰ろうとする人ごみがそこにはあった。








「ふう、モッド詰んでてよかった」




「ありがとう、どうやら奴らのせいでバスとかも止まってるみたい」








成美がそういって、ヘルメットを外すと俺に渡した。








「今日ぐらい、隼人も帰らない?」




「いや、俺はいいよ——成美、早く行け」




「わかった、ありがとう」








成美が手を振って、ステーションへと入った。








「さて――」








俺はもう一度バイクを走らせて、奴らのもとへと向かった。

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