第3話 ファクトバーガー

「ふう、ついたついた」








バイクのエンジンをとめ、俺はヘルメットを外して店内に入る。








ファクトリーバーガー、かつて世界でも広大なシェアを誇っていた世界的大手ハンバーガーよりも早く、この電子世界に出店してその地位を確立した店らしい。








早々に電子世界でのノウハウ、また販路を切り開いたため、価格は非常に安い。俺の小遣いでも毎日通えるくらいだ。








店に入るとすぐに若い女の店員が俺に声をかけた。








「いらっしゃいませ、って隼人じゃない」








ポニテに店の帽子とコスチュームに身を包んだ女子が、俺のことを呼ぶ。








「成美、お前今日シフトだったのか?」








彼女は司城成美16歳、俺の幼馴染だ。俺は12歳からこの電子世界で活動していたが、彼女は14歳の時にこっちに来た。








なんでも電子世界ではバイトの年齢制限がないからという理由で、色々な費用をためようと成美はこちらに来たと言っていた。








「あんたもバイトの一つくらいしたら? 毎日バイクで警察と追いかけっこしてないでさ」




「余計なお世話だ、いつもの頼む」








やれやれといった表情で、彼女は手慣れた手つきで俺の注文を入力する。








『チーズバーガーセットポテトサイズアップ』ここで俺がいつも頼むメニューだ。








「今日は何時に終わるんだ?」




「あと1時間くらいで終わりよ」








俺の問いかけに成美が答えた。時計を確認すると深夜の1時に近づいていた。








「若いうちから夜更かししてバイト漬けはどうかと思うぞ」




「いいのよ、電子世界で労基法とか決まる前にできるだけ稼いでおきたいから」








余計なお世話と思いつつも苦言を言う俺に、成美が答える。








「しかたねえ、食べ終わるまで待ってろ。送ってやる」




「やりぃ、ありがと」








俺がそういうと、成美が指を鳴らしながら笑った。








「おまたせしました、ごゆっくりどうぞ」








マニュアル通りの応対をされながら、受け取ったトレイにはナゲットがサービスでついていた。








廃棄の近いものだろう。電子世界はあらゆるところがまだ緩い。




こういうのも当時の昭和っぽさなのかなと思い、俺は彼女の好意を受け取った。

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