例えば私が小学生だったとして、学校の図書室にこの作品があったなら、繰り返し借りては読んで、終生忘れ得ぬ名作として、老年に至ってもなお心に留めていたでしょう。
『――宿題なんて、クソだ。』
この一文から始まった物語が、心くすぐる数々の秘密や複雑に絡み合う心情描写、誰もが懐かしく思い返す夏休みの愛しい思い出に導かれ、壮大な冒険譚となって子供達の成長を見届けた上、爽やかな読後感と共に幕引きを迎える――本当に感動するお話でした。
大人の立場から読んでみると『大人だってみんな、魔法使いになれるんだよ』そんな囁きも聞こえてくるようでした。
優しさと希望に包まれた一夏の物語。
この作品に掛けられた魔法は、私達読者の心にもきっと淀みなく届くことと思います。
子どもの成長って大人が無理やりさせることはできなくて、子どもたち自身が失敗したり成功したり、傷ついたり回復したり、衝突したり和解したりしながら、自分の足で前に進んでいくもの。その努力と勇気がやがて自分の問題を自分でなんとかする力になっていく。でもそれは時に迷い、時に挫けて膝を折ってしまう道のり。そんな時に道を示し、手を取って立ち上がるのを助ける、それが先生という、ほんの少し「先を生きる」存在かと。決して万能ではないけれど、子どもたちにとっては小さな魔法で自分たちを助けてくれる人。
本作はそんな先生のありようを寓話的に描く物語であるとともに、何より子どもたち自身が自らの足と心で踏ん張って前に進む、一夏の成長物語でもあります。いい先生との出会いがあった人は、恩師を懐かしく思い返すことでしょう。そうでなかった人も、どうか貴方は子どもたちにとっての魔法使いであれるよう、ぜひこの物語を読んでほしいです。
心に傷を負った少年が、戻ってきた学校の先生には魔法が使えました。
主人公は、過去のトラウマから『宿題』ができない体質になってしまいました。
それを聞いて単なるサボりでは? と思われるかもしれませんが、
ここがまず一つ乗り越えなければならない壁なのでございます。
サボりではなく、心の炎症なのですな。
なんと、ドリルに自分の名前も書くことすらできないのですから。
しかし、一度遠くに引っ越した主人公が帰ってきた街の、学校の担任には、
生徒たちが『宿題』を思わずしたくなる、ある魔法が使えるのにございました。
夏が始まります。久方ぶりに会う友人たち。
そして、一向に進まない宿題。
ハテサテ、主人公の送る夏はどうなるのか。
確かにこれ、『夏休み』の宿題ってなんであるんだろう?
って考えることあります。
めいいっぱい遊んで、色々な場所に行って、見て聞いて学ぶのが本当の勉強のはずなのに、なんでそれを学校が強要するんだ?
それに対する一つの『答え』がこの物語には描かれていると思います。
主人公の過ごしたとある夏の、不可思議で、多少甘酸っぱくて、ちょっぴりスリリングなな出来事の一幕。
全二十話でスっと読むことができます。
文体も優しく、言葉が頭に入ってきやすいですので、一気見推奨です。
ご一読を。
親のもとにある小学生は、どれほど理不尽で苦しい目に遭っても、
そこから自力で逃げ出すことは難しい
そんな目に遭った主人公の乾瀧人は、心を病んだ
やり直すために、生まれ育った町に引っ越してきた瀧人
幼なじみたちと再会し、新しい生活をスタートさせる
ところが、転入先のクラスの担任には、
どうやらふしぎな力があるようで……
瀧人たちは、そのなぞを解き明かそうとする中で、
ある邪悪な存在と出会う
トラウマを抱えながらも、やさしく、一生懸命、生きようとする主人公がけなげで、
応援しながら読み進めました
主人公の友人達の「ふつうさ」が、主人公をチクチク刺すこともあれば、
救いになることもあり、物語にリアルな感覚を与えます
たとえ先生にふしぎな力があったとしても、助けになりこそすれ、
戦う主体はあくまでも主人公である子どもたち
がんばれ!
子どもたちのひと夏のひみつの冒険を、ぜひ応援してあげてください