キノコ襲来!人類終了のお知らせ!?

@Wasshii319

どうにでもなれ、世界なんて

 唐突だがフラれた。


 ワンチャンどころかスリーチャンくらいあると思ってた仲いい女子に叩き潰すようにフラれた。


 ハードパンチャーにボッコボコにされたボクサーくらいふらつく足でなんとか家まで帰ってきたが、玄関ドアを開ける気力すらなく、俺はそこに座り込んだ。


 玄関ドアにもたれかかるようにして座り込んだ後は、俺は微動だにしなかった。この状況を何も知らない人がいたら、「あそこの家はあんなところに植木鉢を置いてるのかぁ、玄関入りにくない?」と思っちゃうくらいには不動で、静かだった。


 もうその方がいいかもしれない。こんな思いをするくらいなら、花や木に生まれるべきだったのだから。今からでも植物になれる保険とかねえかな……。いや違うな、植物になったら保険が下りるのかな……。


 親が俺に生命保険をかけているかどうか考えていると、急いでいるような足音が聞こえてくる。音からするとあまり走るのに向いてない靴だな。いや、別に靴の音フェチとかそんなニッチな奴じゃないんだけど。ただ硬そうな音だからってだけで。


 その音は俺の家の前で止まって、俺はかなり驚いた。……実は、その音が止む前に、すでに俺はその存在を認識していた。その時点でもうだいぶ心臓が跳ねたが、それの足音がここで制止するわけがないと思っていたんだ。


「やっと見つけた……探したよ、ちきゅうじ……人間くん!」


 全身の穴という穴からキノコを生やし、俺の名前を覚えてないどころか人間とかいうざっくりすぎる呼び方をすることを除けば、それは俺が先ほど告白した相手、成木乃子(なるきのこ)だった。


「さっきはごめんね……!私、急だったから、びっくりしちゃって……!」


「いや寄生されてますやん。宇宙人ですやん」


 俺は冷静だった。





 

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