赤いゲートがアクシオン学園の空に輝き、まるで現実の織物に開いた傷口のように邪悪なエネルギーを脈動させていた。それが現れてから二日が経ったが、中からは何も出てこず、消えもしなかった。ただそこに存在し、迫りくる脅威を静かに告げていた。

— 一日目 —

学園周辺の地域は安全のため避難措置が取られた。偵察隊が派遣され、ゲートの分析を試みたが、入った者は誰一人として戻ってこなかった。

リオネルは学園の回廊にある木製のベンチに座り、遠くからゲートを見つめていた。その隣にはライ・ヴィンセントが座り、周囲の張り詰めた空気を警戒するように観察していた。

ライ（不安げに）：「これは普通じゃない...なぜ誰もまだ閉じようとしないんだ？」

リオネル（静かに）：「できないんだ。」

ライ：「どういう意味だ？」

リオネルは答えなかった。ただゲートを見つめ続けていた。彼は冷静に見えたが、ゲートから放たれる不気味な気配が普通でないことは明らかだった。何かが…おかしい。

— 二日目 —

学園内の緊張はさらに高まった。ゲートに入った偵察隊は戻らず、Sランクのハンターですら沈黙を貫いていた。

前日の訓練試合で敗北したマルコ・レッドマンは、学園の中庭で怒りを抑えきれず、壁を拳で殴りつけた。

マルコ（苛立ちを露わに）：「ありえねぇ！誰も戻らないってどういうことだ？あいつら、そんなに弱かったのか！？」

黙って見守っていたセリーナ・ファルスタインが、冷静に口を開いた。

セリーナ：「そんな単純な話じゃない。もしただのモンスターなら、最初の数時間で出現しているはず。」

マルコ：「じゃあ何だよ？このまま待って、食われるのを待つのか？」

リオネルは黙っていたが、しばらくして静かに言った。

リオネル：「今は待つしかない。無策で入れば、死ぬだけだ。」

マルコは睨みつけたが、リオネルの言葉の重みを感じ、反論することができなかった。

— 三日目 —

夜明けとともに、大地が揺れた。

そして…ついに、"それ"は現れた。

最初に現れたのは一体の怪物だった。次に五体、十体、百体…数え切れないほどの黒い角を持つ巨大な存在が、ゲートからあふれ出た。

彼らの身体は堅固な外殻に覆われ、血のように赤く光る目が獲物を探していた。鋭利な爪からは毒液が滴り、恐怖そのものが具現化したかのようだった。

学園の生徒たちはその場で凍りついた。

マルコ（後ずさりしながら）：「なんだ…こいつらは！？」

セリーナ（小さく震えながら）：「これは…モンスターじゃない。悪魔よ。」

悪魔たちは街へと流れ込み、目の前にあるもの全てを襲った。

市街地には悲鳴が響き渡り、地面は血と肉で染まっていった。

リオネルは動けなかった。

圧倒的すぎる。

彼の目の前で、B+ランクのハンターが一瞬で引き裂かれた。

「これが現実か…？」

「B+ランクですら、相手にならない…？」

ようやくハンターギルドの車両が到着し、数十人の武装したハンターが降り立った。

リーダー（自信満々に）：「所詮モンスターだ！速やかに排除しろ！」

彼らは魔法と武器を駆使し、一斉に突撃した。

だが———

戦闘は"瞬時"に虐殺へと変わった。

ハンター（絶叫しながら）：「な、なんて強さだ！？こいつら、倒せねぇ！」

別のハンター（身体を引き裂かれながら）：「これは…本物の悪魔だ！！」

絶望的な叫びが響く中、ハンターたちは次々と屠られた。

生き残る者は…いなかった。

—

そして、市街の中心で、さらに異変が起こった。

大地が激しく震え、空間に邪悪な魔力が満ちていく。

空中には聞き取れない古代の呪文が響き、まるで長き悪夢の囁きのようだった。

そして、誰もが目を疑った。

"それ" が姿を現したのだ。

地面が割れ、"黒い城" がゆっくりと地中からそびえ立っていく。

城壁には悪魔の刻印が刻まれ、放たれる闇の気配は"死"そのものを呼び寄せるかのようだった。

マルコ（呆然と）：「…こんなの、ありえねぇ。」

セリーナ（警戒しながら後ずさる）：「これは…ただの襲撃じゃない。"侵略"よ。」

リオネルは黙って城を見つめ、握った黒刀に力を込めた。

「侵略…違う。」

「これは、もっと恐ろしい何かの始まりだ。」

— 第2章 終わり —