第2話 変化あるー

「古いお家だなぁ」

 なぜそんな場所に惹かれたのかはわからないが着々と近づいていく

 遠目から見ると家の玄関は廃れていてドアが半開きであった。


 不法侵入になるだろうしそろそろ探検隊ごっこを終わらせようかと振り返って来た道を見たときにそれは後ろから聞こえた。


「…助けて」


 今の声は女の子の声?

 こんなところで?


 もしかしたら誰かが何か重大な事件に巻き込まれてしまっている可能性もある。

 何かあったときにあの場所にいた自分が何かできたのではないかと後で後悔してしまうような気がした。

 まあそんなことは確率的にあんまりないだろうし聞き間違えであることを信じてる。


 それでも僕は怖い気持ちを抑えながらも家の中に入っていった。

 だって幻聴でも助けてと言われたらなぁ。


 扉を極力弱い力で開くと中は所々腐食していてペットボトルや破れた本などのゴミが大量に転がっていた。

 そして鼻を突くような不快な臭いが立ち込めていた。


 足が震えながらも家の中を調べていく。

 歩くたびに抜けそうな床がきしきしと鳴る。

 しばらく奥を進むとある扉が目に入った。

 比較的その扉は綺麗でその家の中では異様な雰囲気を醸し出している。

 どうにも気になり、ドアノブに手をかけ扉を開いた。


 信じられない光景が僕の目に入ってきた。


 そこには見るも絶えないような痣や痛々しい怪我をしている手錠に繋がった女の子がいた。


「おい!大丈夫か!!」

 僕は女の子の元へ走り、返答を待つ。

 彼女からの返答はない。素人目で見てもかなりまずい状態だ。

 とりあえず警察と救急車に電話を―


「ただいま。私の大事な人、戻ってきましたよ。」

 扉の向こうの少し先の方から男の声が聞こえてくる。


 やばい。誰だかわからないがこの状況で普通の常識を持った人物である可能性は著しく低いだろう。


 僕は女の子を監禁拉致をしているやべぇ男が戻ってきたんじゃないかと思い、右へ左へと隠れられるような場所を探す。

 しかし、そんなものはどこにもなかった。


 きしきしと足音が近づいてきて

 扉の前に人の気配がする。


 そして、ゆっくりと扉が開く。


「-ちゃん。お利口に待っていましたか?」


 男はそう言うと女の子の頭を左手で撫でる。


 間一髪


 僕は開いた扉の後ろに隠れることができた。

 もっとも隠れているうちには入らないぐらいバレバレではあるが。


 その男をちらっとみるとスーツを着ていて長身でスラっとしていていかにも真面目そうな眼鏡をかけたサラリーマンのような雰囲気をしていた。


 ばれませんように、ばれませんように、

 そう思いながら次の案を思考する。

 もうばれるのはきっと時間の問題だ。早くこの場所から逃げなければ。


「あれ?-ちゃん、なんか隠してる?」

 男はそう言うと急に様子が変わった。

「おいおまえ、お前だよあばずれ!!!!!」

 そういいながら女の子の体を自分の腰につけていただろうベルトで痛めつけ始めた。


「きええええええ!!!!」

 バチン!バチン!バチン!


 風を切る音と肌にぶつかるその痛々しい音でその部屋はいっぱいになる。

 女の子の反応はなにひとつもない。


 本格的にヤバイ。こいつはヤバイ。

 早く!早く逃げないと!!


 急に男が静まり返る。

 あいつは急に黙ってどうしたん―



「それで、そこのお客さんは?」

 そう言うとその男は顔をぐるんとこちらに向けてきた。



 男にばれた。



 その瞬間、僕は扉を開けて通った来た道を猛烈な早さで戻った。

 後ろのことを気にしている時間はなく、ただ必死に足を動かした。

 玄関の扉を貧弱なタックルで開けその家から離れた。


 どうやら男はついてきていないようだ。


 そのままノンストップで自分の家まで帰った。

 もう汗か雨かわからないが全身びしょ濡れで玄関に倒れこむ。


「どうしたのおにい!大丈夫?」

 妹のユウキはそういうとタオルを持ってきてくれた。


 僕は息切れしながら心配そうにこちらを見ているユウキに伝える。


「お兄ちゃんはとんでもないことに巻き込まれたかもしれない」














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別の世界で特殊部隊である俺はこの世界では平和に暮らす。 おかね @fuzitakun

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