五秒で読める掌編集


【まちがいさがし】



「この二枚の絵を見比べて、間違いを全て指摘してください! それでは――開始!」


「いやちょっと待て! そもそも絵が違うじゃないか。間違いを言うなら全部だ――間違い探しってのは、同じ絵の、細かい差異を見つけることを言うのだろう? こんなの、一つ一つを指摘し続けていたら日が暮れるじゃないか!!」


「はい。でも、間違いが見えて、分かっているなら時間もそうかからないのでは? とにかく間違いを全て指摘してください。でないと――この部屋から一生、出られませんよ?」











【口まわり】



「おいッ、てめえ、俺のことなめてんじゃねえぞ!!」


「なめてましぇ――あ」


「噛んでんじゃねえ!!」











【面構え】



「――やっばっ、どうしよ、ぜんぜん前髪が決まらないんだけど!?!?」


「あるだけいいじゃないか。こっちは一本だってないんだぞ?」


「いや、自分から剃っておいてさ、被害者面するのは違うでしょ」











【嘘をついたら】



「嘘つきは嘘の始まりだよ」



「フライングしてない?」










【はじめての紹介】




「ようこそっ! ここは誰にも紹介していない、あたしだけの秘密基地だよ!」


「へえ……じゃあさ、もう次の人には言えないね。『誰にも紹介していない』――ってさ」


 紹介する『はじめて』がおれになっちゃったけど……ごめんね?


「ううん、気にしないでいいよ。だって、亡くなった人はノーカウントだから」



※初出:monogatary.com

お題「ここは誰にも紹介していない秘密の場所です」











【目と鼻の先】



 暑い季節がやってきた。

 近所で見つけた店の貼り紙には、こう書いてある……


『冷やし中華はじめたぞっ!』


「いやタメ口ぃッッ!!」





※初出:monogatary.com

お題「冷やし中華はじめました」











【昨日もおとといも】



 登校前、鏡の前を三十分以上も占有している姉がいた。



「うわぁあんっ!! 今日はぜんぜん、前髪が決まらないよ~っっ!!」



「…………え? 今日『は』?」




※初出:monogatary.com

お題「前髪がキマらない」











【その後のこと】



「あーはいはい分かりました……、てめえ、こ〇すぞ」




「いいけど……逃げ切れるの?」











【唯一自身】



理解者なんていらない、と言うわけではないけれど。



少なくとも、一人はいる。



絶対に見限らない、たった一人のファンならば。






※初出:monogatary.com

お題「おススメ作家を3行で紹介」






…おわり

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騒音に負けないで! 渡貫とゐち @josho

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