強く美しい輝きの『聖眼』を持つ『聖皇』と『七曜』の物語『聖皇記』
雪村
第1話 混沌の終わりと始まり
その時、神皇天帝より、一柱の
戦いののち、
皇国は、中央の
「これから物語が動き始める」
月夜が綺麗な、静かな真っ青な草原で、夜空を見上げながら、一人横になる少年がいた。
「ワタクシは誰なんだろう……生まれし時より、左眼が見えず、不便に感じたことは無いけれど……星って、こんなにも綺麗なんだね……母様は、三年前に亡くなった……悲しかった……あの何処かの星になったのかな……寂しくは無いけれど……誰かと、お話をしたいな……
場面は移り、ここは
「だりゃああぁ‼‼」
(木刀一本で剣聖に修行つけてもらえるんだ!ありがてぇ)
兜割りにきた弥の一太刀を翁は、軽くいなし、弥の脇腹に一閃打ち込んだ。
「ぅうげえ……」
弥は
「ほっほ、無駄に跳ねるでない、その間に相手は態勢を直せるからの」
この翁の名は「
そこに母さんと、ばあちゃんが迎えに来た。
「はい、二人とも
「弥、お帰りなさい……」
「父さんもお帰りなさい!
「はい、兄上」
「はい、兄様」
灼弥と輝弥は、弥の年子の双子である。灼弥は、剣術・体術・焔術を得意とする。輝弥は、元・焔術師の祖母と、現・焔術師の母の力を濃く受け継ぎ、焔術の威力は絶大である。小太刀術と暗殺術は父から修行をつけてもらっている。
……少しすると、大鍋で、何やら煮込まれたものが置かれた。
「……あのさ、母さんと、ばあちゃん山菜取りに行ったんだよな……?」
「えぇそうよ」
「んだよぉ……」
「天婦羅とかじゃないの⁉」
「ほら、よく見なさい、コゴミ、ゼンマイ、タラの芽、ワラビが浮かんでいるでし ょ」
「鍋の具の要は何が入ってんだ……?」
「冬籠り明けの熊よ」
「……"え」
「冬籠り明けは、気が立ってるからねぇ、大丈夫だったかい?」
普通に聞く父、
「ぃやぁ……旨味が出て美味しいねぇ……」
ぉい、じいちゃん
「私とおばあちゃんの焔術があれば即死よ」
ニコニコしている。
「でも毛皮が燃えちまって残念だったね……」
「売れば良いお金になったでしょうね」
夕餉が一通り落ち着くと、父が言葉を掛けてきた。
「弥、夕餉が終わったら、庭に来なさい」
「はい」
腹は八分目に満たし、庭に赴く
「来たね、上を脱いで、目隠しをしなさい」
暗殺術の修行だ、今夜で最後だ。父からの修行は単純だ。目隠しで視界が
父の攻めは、突きを中心としてくる。音が聴こえず、且つ、急所を狙ってくる。対する俺の対応真後ろに引けば、踏み込んだ父に殺られる。ならば
蹴りが上段・中段・下段か判断つかない、ならば後ろに引く、
「ぃでぇ‼ぁちち」
父さんがひっくり返っていた。
「ぃやぁ……ここまで読めるようになってたんだね……へへ、さすが」
「父さん、ありがとう御座いました」
「とりあえず僕からは、「
「”あぁ、そうだ‼ごめんね父さん、おやすみなさい‼」
弥は脱兎の如く走り去った……
「あら、もうあの子を免許皆伝にしたの?」
「もう、十分と判断できたよ、天は二物を与えずと云うが、あの子は、三物も四物も持っている」
「身内には優しいの?」
「そんな訳あるか……息子だから、殺す気で修行をつけてたよ……たとえ身内でも息子でも容赦はしなかった」
「それはなんで?」
「親父も僕も、あいつも焔を司る「七曜」の血を受け継いでいるからさ」
「……でしょうね、まだ力を開放しきれてないんでしょ?相手してあげるわよ」
「手合わせは、五年振りかな、よろしく」
良い試合だったが、ブチ切れた嫁さんの上位爆焔術で死合いは終わった。
翌朝、弥は「
そして、ここ「
そして櫂棒で、ゆっくり、ゆっくり混ぜ、水分を飛ばせば
「
の、完成だ。驚きだが塩之祇郷の一番の稼ぎ頭は「ばばあの塩」らしい……御国中から珍重され、貴族は食事に使い、神職からは「御払いの御塩」として、重用されてるらしい、とはいえ冗談抜きで、この塩のすごさは驚く。
俺が五つの時、父さんが、ばばぁと俺を引き合わせてくれて、働いて十年か……
「
阿瑠華が
「どうぞ、弥様、召し上がれ」
身体を芯から使い果たした弥には、
ある別の日、
昔、雪乃の高祖父の代、身内に
「雪乃様、どうぞ、お召し上がりください」
「阿瑠華、
食事が進み、塩婆が話し出す。
「ところで雪乃よ、お前さんは、もう自分の出自くらいは、知ってるんだろ?」
「ええ、まさか私が七曜なんて……」
雪乃は箸を置いた。
「七曜も七曜、
「えぇ、でも高祖父の代で、御家騒動で追い出されて、今更蒸し返しても……へへ」
「……はあぁ、お前さんね……今のあのボンクラどもの政では、
「ぁら、おばあちゃんが頼み事なんて、珍しいわね、何するの?」
「なに簡単さ……」
婆は、ニコリとし、
「
「……はあぁ、?天扇・蒼月華の是認の主⁉何言ってるの、おばあちゃん⁉」
「そんなに難しい頼みじゃあるまいて……」
婆は茶をすする……
「あんなとこ、一人じゃ無理だよ……」
「そばに利口なイヌがおるじゃろ」
「⁉、え、弥を連れてって良いの⁉」
「あぁ、話は通しておくよ……」
(イヌ、即ち弥って、こ奴ら、どういう間柄なんじゃ……)
そして次の日、……
「ジイちゃんと父さんから、話は聞いたが、……なんで俺がお前の旅に?」
「御塩のばあちゃんと話したら、そうなったの‼」
(俺は蚊帳の外か……まぁ良いか、お陰で業物の刀を貰えたし、しし)
「んで、とりあえず、どこに行くんだ?」
「先ずは北に向かって、
一夜明け、二人は出立した。雪乃の後ろを弥は、ノコノコ付いていく……
「……弥……迷ったわ……ここ……どこ?」
(簡素な地図も書かず、方角も分からんとは陰陽師じゃあるまいに……)
「……ぃや、俺が聞きたいわ……まぁ海を渡ってないから、
すると草むらから「ガサり……」と音がし、瘴気が漂う。
「迷わずして断を下す‼‼ジイちゃんから貰った、妖刀・
一閃で禍忌の狼の
「よっっし‼皮は丁寧に剥いで、肉は干し肉にしよう。肝は薬になるって、婆さん言ってたな……御塩は、たっぷり使おう。瘴気が消え、匂いが消え、禍忌の肉も柔らかくする女神の塩」
「弥、肝とかの処理は任せて‼塩のおばあちゃんから、薬師の心得は授かってるから」
「ぉお、任せた」(さて、どこで野宿するかねえ)
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