第2話男性用香水
凄いっていうか、無駄なメンタルである。
「男用の香水も作れよ。女だけは不公平だろうが」
「うーん。自分で作ればいいんじゃない?」
彼も薬屋として経営しているというのに。
己の手で掴み取れる筈。
手で顔を支えて、頬を持ち上げる仕草をしながら、告げた。
「男に男の香水作るのは、やる気が違う。喜ばれてもなぁ。女落とすのに使うってわかったら作りたくなくなる」
「それは女も同じ条件じゃ」
「女は違うだろ。いじらしく思う」
それは、彼の心の中の女性像が凝り固まってるのではないか。
「夢見すぎ」
何度も言うが、彼は幻想を抱き過ぎている。
「夢くらい見させて欲しい。だろ?想像ぐらいは、自分を思う女がせっせと香水を手に鏡の前にいると思うと、最高だ」
「へえええ」
棒読み。
「それで、おれの予定を聞きにきたりしてな」
「ほほお」
目を閉じて、聞き流す。
「で、何々で、何々な」
段々言葉を変換出来なくなってきた。
「いや、寝るなよ」
意識は暗く、沈む。
まるで木々に優しく引き込まれている感覚に、目を開ける。
そこは部屋だ。
一目でわかる。
もう何度も敬遠しているから。
ロアマリヤにはいつからか知らないが、いろんな世界を夢を通じて垣間見れるようになっていた。
トリガーは夢、寝る、意識。
本当にさまざまな世界を俯瞰でき、世界も場所も選べない。
上から目線という言葉があるが、本当にその目線だ。
今のところ女性ばかりだ。
そして、今も女性の部屋で散らかった中、服を選んでいた。
「遅刻遅刻、遅刻するっ」
四角いもの、スマホと呼ぶそれらによると、その媒体は時間や情報を瞬時に知れる便利なものだ。
ロアマリヤもなんとか魔法で再現しようと試みているが、まずは世界を回って色々設置しなければならないという厄介なクエストがあるので、今の所そうしなくてもいいところだけ試みている。
出たくなくて店に引きこもっているのに、出なくては完成しないものなど、作る気が失せる。
かなり偏屈だと自覚はしてるけどね。
遅刻と言って走る女の子の恋する姿をちゃんと記憶しておき、後々自身の商品へ転嫁させる。
取るわけじゃない、コピーさせてもらうだけ。
日記やポエムも、参考にさせてもらっている。
この世界の気持ちの表し方が、異世界ではかなり好評なだけだ。
別に盗作ではない。
ないったらない。
ただ、ただ単に参考というか、とにかくお手本にさせてもらっているだけなのである。
夢から覚めて早速フレグランスを調合して、メッセージカードを書く。
書けば書くほど量も増える。
それはそれでやる気もちょっとは違う。
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