7. アーサー女王の一日 | 規律の中に生きる猫の記録

 アーサーは、名前の通り我が家の女王である。

 そして彼女は、とても規則正しい性格の猫でもある。


 ここでは、そんなアーサー女王のある一日をご紹介しよう。


 ■ 夜のアーサー:女王、静寂の中に眠る

 夜の間、彼女は私たちの睡眠を妨げることはほとんどない。

 どこにいるかというと、もちろん自分の城――キャメロット城にてお休みになっている。


 キャメロット城とは、ベッドの横に設置された鉄製の棚に、穴あきの箱を置き、その上からタオルをかけて作った、完全女王仕様の寝室である。

 そこに丸まって静かに眠る姿は、まさに気高き猫の女王そのもの。


 ■ 朝のアーサー:「熱循環」の儀

 私たちが起きる約1時間前――アーサーの一日が静かに始まる。

 まずは窓際に移動して、じーっと外を見つめる。

 夜明けの風にさらされながら、「冷えた猫」モードになるのが日課。

  なんか『女王、冷気チャージ中』って感じでカッコいいんだけど。


 そして次の行動。

 ぴょんとベッドに飛び乗り、私の体の上に乗って、

 ふみふみ(通称:ミルク踏み)を始める。


 その意味はひとつ。

「寒いから布団に入れて」


 我々はこれを「アーサー式モーニングコール」と呼んでいる。


 布団に潜り込み、ぬくぬくと眠るアーサー。

 が、しばらくすると……

 暑くなったのか、また窓辺へ移動。


 その後も、

「寒い → 寝たい → 暑い → 出る → また寒い」

 というループを何度も繰り返す。


 私たちはこの儀式に名前をつけた。

熱循環ねつじゅんかん」である。


 ■ 出勤前のアーサー:要求のめぇ

 私が出勤の準備を始めると、アーサーはすぐさま現れる。

「ごはん(カリカリ)を足せ」と要求してくる。

 もしうっかり忘れて出ようものなら――


「めぇぇぇぇ!!」


 ……いや、それは猫の鳴き声じゃないよね?

 毎回思うけど、完全にヤギの声なんだよね。


 そして、餌を無事に足すと、アーサーは満足そうに部屋へ戻る。

 そこで始まるのが――


「ベッドチェック」。


 布団をちゃんと整えておかないと、アーサーは寝ない。

 女王の寝室は常に整っていなければならないのだ。


 整ったベッドの上に丸まり、彼女は再び眠りにつく。

 その姿は、家に設置されたカメラでこっそり見守っている。

 本当に、一日中、ずっと寝ている。


 ■ 帰宅後のアーサー:人間と共に過ごす時間

 私たちが仕事を終えて帰宅すると、アーサーはまず「缶詰(ウェットフード)」を要求。


「缶あける音」=「女王の夕食」なので、

 人の足元をトコトコ歩きながら付いてくる。


 この瞬間のアーサーはめちゃくちゃ可愛い。

 いや、この可愛さで要求してる時点で、もう負けてるよね……。


 ご飯のあとは、私たちが夕食を取っている間、ひとりで少し寝る。

 が、だいたいご飯が終わるころになると、

「めっ」と短く一声。

 「そろそろ寝室へ来てください」の合図。

 その『めっ』に合わせて尻尾をピンッと立てるのがまた女王っぽい。


 同居人は部屋でパソコンをいじるのが日課なので、アーサーはその時間を「一緒に過ごすタイム」と決めているらしい。


 ■ 深夜のアーサー:女王の運動タイム

 夜12時。

「カリカリの追加」が必要。


 その後、アーサーのスイッチが入る。

 ダッシュ! ジャンプ! 高速ステップ!

 とにかく走る、飛ぶ、隠れる、狩る――

 女王の運動量、深夜テンションMAX。


「寝る前にカロリー消費しておくスタイル」らしい。

 これぞ女王の自己管理術か……尊敬しかない。


 ■ そして再び朝へ……

 深夜2時。

 私たちが布団に入ると、アーサーもふわりとやってくる。

 でもすぐにはキャメロット城には戻らない。


 まずは布団の中に入り、私の足の間にすっぽりとおさまって、しばらく体を温める。

 まるで「人間湯たんぽ、いただきますね」と言わんばかりに。


 ぬくぬくと満足すると、すっと立ち上がり、優雅に皇座へと戻っていく。

 そして静かに、眠りにつく。


 ……そして、数時間後。

 またあの「熱循環」が始まるのだった。


 アーサー女王は、今日も変わらず、規律正しく、気高く暮らしている。

 その気まぐれと愛らしさに、私たちは日々、忠誠を誓わされているのだ――。

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