第2話
あぁ、真っ青な空に吸い込まれそう。それを阻止するかのように太陽がキラキラと降り注ぎ私を阻む。
この退屈な教室から誰か私を連れ出してくれないだろうか?そんなどうしようもないことを、どうにもならないとわかっているのに考えてしまう。私、土橋 里佳子 16歳。
ただ今、数学の授業中。私は数学が大大大の苦手。だから今も先生の言葉はチンプンカンプン呪文のよう。黒板に書かれた文字は、解読不能な暗号にしかみえない。
こんな退屈な授業でもなんとか居眠りしないでいられるのは、この席のおかげ。
今私が座っているこの席、左を向けば吸い込まれそうな青い空と体育の授業でランニングをしている生徒達の掛け声が心地よく響く校庭。そして右斜め前を向けばクラス全体がまるっと見渡せる。
ぼんやりと外を眺めるもよし、人間観察でクラスメートの意外な癖を発見するもよし、なんとも飽きのこない絶好の席。
みんな真面目に授業を聞いてるなぁ・・・。
それもそのはず、この高校に入学してまだたったの10日。
こんなにも気が抜けているのは、私くらいなものか。
あいつも例外ではない。
黒板に書かれたうんざりするくらい長~い解説を、せっせとノートに書き写している。
あいつの名前は、上原 翔。
みんなからはショウとかウエちゃんと呼ばれている。
パッと見、身長は170センチくらいとそんなに背が高いというわけでもなく、めちゃめちゃカッコイイというわけでもない。
それでいて面倒見が良く、クラスの中で飛び抜けて目立つ存在ではないけれど、独特の存在感、いい味をかもし出していると私は思う。
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