青々しい灰色は、静かに黒に染まる。
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第1話
「死ぬのが怖い」と言っていた貴方は、呆気無く
この世を去った・・・
本当に呆気無く・・・
そんなに空を飛びたかったのだろうか?
あの日の空は、いつにも増して青々しくて
白が良く栄えていた。
「空は、どうだった? 気持ち良かった?」
なんて、火葬場から高く伸びる煙突から出る灰色をただただ見つめながら呟く。
「人間なんて呆気無い」
また独り呟けば―――
「どうしてこうなったのか?」とか
「色々悩んでたらしいよ」とか
興味を含んだ音や、ただ驚くばかりの音がする。
私が出す音なんて何も含まないものの様。
貴方は、笑ってた。
最後の電話で笑ってた。
「私も一緒に連れて行ってくれれば良かったのに」
なんて青々しい灰色に呟いても仕方がない。
貴方は、独りで逝ったんだ。
私は、後を追わないよ。
「私は、後を追わないよ」
そう青々しい灰色に呟けば
静かに地面は黒色に染まった。
完
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