第3話

夏休みが近くて浮かれている頃に




『目が見えない』




と彼が静かに言った。





そこで初めて

お別れが近いことに気が付いた。



まだ14歳だった私が

抱え込めるほどの事ではなかった。




学校には行かず

彼に会いに行き

私を忘れないで欲しくて

話かけて

触れ合って



残りの時間をただただ一緒に生きた。




今思えば

もっとたくさんしてあげられる事があった。

あの時は自分の事しか考えられなかった。


もっと写真を撮ればよかった。

もっと未来の話をすればよかった。



もっともっと‥‥キリがない。










そして夏休みに入ってすぐに

彼は静かに息を引き取った。

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