ディストローム
@nenza06
第1話
30XX年 9月6日 惑星マリトス シャールストリート北東部にて…
"侵略が始まった"
未だかつて存在を認識していない、どこから来たのだ、どこから生まれたのだ、そんな疑問が飛び交う未確認生物"滅殺魂"(キルター)
そう、奴らの侵略が…
「嘘だろ……」
棚町淳太(たなまちじゅんた)俺は、この侵略の生き残り。だが、家族を失い、住処も何もかも無くなった。もはや生きる希望はなかった。
「母さん…父さん…彩…俺、どうすりゃいいんだよ…」
この先何が起きようと、俺に待っているものは、絶望そのものなんだ…
何も考えられず、立ち尽くしていた時、
「君!!大丈夫か!!」
突如聞こえる人の声。生き残りがいるのか?一人ではないのか?俺は頬を滴る涙をぬぐい、希望を持って振り向いた。そこには軍服を着た背の高い男性がいた。なんだかホッと安心した。
「よかった、君は生き残れたか!もう大丈夫だ、これからは私も共に行動しよう。」
「ありがとうございます、お名前は?」
「橋川堂(はしかわどう)だ、よろしく」
見た感じ30代後半といったところだろうか、街はまだアイツらが徘徊している、軍の人が仲間になるのは心強い。
「堂さん、俺以外に生き残りは?」
「それが、見当たるのは徘徊している気味が悪い生物ばかりで、君以外に人は見かけていない。」
やっぱり、これ以上生き延びるのは難しいのか
「堂さん、今まで一人で探索していたんですか?」
「そうだ、まぁ私には軍の兵器がある。武術も精通しているしな」
軍の兵器、それって戦車とかもあるのか?あるなら、相当な戦力になる。
「堂さん、そのライフル俺の分はありませんか?」
堂さんの背中にはいくつか銃があった。俺はその中から一つ選んで指を差した。
「軍施設に行けばおそらく武器は揃う。だが、君に銃は扱えるのか?正直、かなり危険だ。」
「でも、今はやるしかありません。生存者を探す探索もしないとですし。」
「わかった。ひとまずはこのライフルを君にわたすよ。」
初めて持った銃、この重み、ワクワクする。
「とりあえず軍施設に行こう。装備を整えなければ。」
「わかりました、どっちに行けば?」
「向こうだ、だが気をつけてくれ、ここにくる道中、あの道で何体か奴らを見た。見かけた奴らは討伐してきたが、おそらくまだいるだろう、」
「了解」
母さん、父さん、彩、行ってくるよ。ゆっくり待ってろよ。
俺たちは歩き出した。
しばらく進んで、ショッピングモールを見つけた。
「ここ、崩壊してない…」
「何故だ?奴らは一体なんの目的が…」
『ン、、ガギィィ!!』
崩壊した街に響く鳴き声…
今の声は奴らか!案の定居やがったか…どこに居るんだ、姿が見えない!
「落ち着け!セーフティはかかっていないか確認をするんだ!」
俺はセーフティを探した。おそらくこれだろうというものを見つけ、動かした。
「後ろを見ていてくれ!私は前に進む!」
「はい!」
だが、一向に姿は見当たらない。
「なぜだ、確かに声はした…」
俺は気づいてしまった。気づきたくもなかったことに。
「堂さん…ショッピングモールを見てください…」
堂さんは目を凝らしてショッピングモールを見ている。
「なっ…!」
ショッピングモールには、大量の死体が積まれており、その上には未だかつて見たことのない種類の"ヤツ"が座っていた…
「なんだあいつ…」
首元が異常に膨らんでおり、爪が俺の身長より長い、、さっきの鳴き声はアイツだったのか…!あの首で振動させたのか?どちらにせよ、あいつが元凶に違いない。でも正直、あいつとは戦いたくない…
探索を再開しようとした瞬間。堂さんが言った
「私があいつと戦う」
「え?何を…」
「だから君はショッピングモールを探索してきてくれ」
「ちょっと待ってくださ…」
「今は生存者を探すことが優先だ、若い君の方が体力は優れている。おそらく室内にはヤツらが徘徊しているだろう、充分に気をつけてくれ。」
「いやですよ、俺一人じゃ何もできません!」
「君、そういえば名前を聞いてなかったな」
「……淳太です…」
「淳太くん。君は強い、私は君を信じる。だから淳太くんも私を信じてくれ。」
そう言って堂さんは、ライフルを持って走って行った。
また失うのか?…また大切な人を失う羽目になるのか?想像もしたくない。
でも、ここでくよくよもしてられない。俺は信じられている。そして、俺も堂さんを信じる。探索を早く終わらせて、堂さんと戦えばいいんだ。早く行かなければ!!
堂さんの方を横目で見ると、堂さんがやつの腕を撃ち抜いたところだった。あいつの動きは他のやつより早いのに、流石だ。おれも見習わなければな。そうして、俺は室内へと入った。
ディストローム @nenza06
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