第六章 あかりの手紙
親愛なるおじいちゃんとおばあちゃんへ。
おじいちゃんとおばあちゃんは意図せずアダムとイブになったわけだけど、後悔しなくていいと思う。たしかに記憶を渡すことで知りたくなかった過去を知ることになるかもしれない。記憶をなくすことで後悔する人もいるかもしれない。
でもきっと渡してよかった、もらってよかった、そう思う人もいるはずだから。
それにね、こんなこといったら元も子もないんだけど、アダムとイブはリンゴを食べちゃったんだから! もし追放されずに楽園にアダムとイブがずっといたら、なんて想像しても仕方ないでしょ? 追放されちゃったんだから。記憶のキャンディがこの世に誕生してしまったんだから、もうしょうがないんだよ!
だからアダムとイブの孫として私にできることは、できるだけ悪用されないように、できるだけ救われる人が出てくるように見守っていくことだと思うんだよね!
おばあちゃんの駄菓子屋は私が継ぐ予定。もし記憶のキャンディの作り方を知りたい人がいたら、教えるつもりなんだ。もちろん、記憶を失う代償のことも話すけどね!
だからね、どうか安らかに眠ってください。おじいちゃんが本当におばあちゃんを思っての行動だったのもわかるよ。おばあちゃんも、記憶をおじいちゃんに渡したことをもう責めないでください。後悔しなくていいんだよ。そして、私のことを見守っていてください。
天国でも二人でキャンディ食べて元気でね。ありがとう。あかりより愛を込めて。
おばあちゃんのキャンディ つばさ @fwrt
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