二口目の味わい

 初めての感情を、二度味わいたいと、思った事はあるだろうか。

 それは最初で最後の感情。

 人生において二度と味わうことができない、胸の高鳴り。

 もしそれを二度味わうことができたのなら、味わいたいかどうか。

 いつも通りの親友の突拍子のない事に、ただ口を開けていると、流れるように続きを話した。

 最高級の料理の一口目を感動するように、人生においてはじめて味わった感情を、もしもう一度味わえるとしたら、君は味わうかいと。

 

「そんなもの、ノーに決まっているだろう」

 私の答えに、目を開いて答えていた。

「初めての感情は、初めてにこそ意味がある。例え記憶を消したとしても、その時以上の反応はできないよ」

 私のこの発言に根拠など一切なかった、ただ私の心の思う内を話しただけだ。

 それなのに論理的な君は納得したようにうなずいた。

 そしてこう私に告げる。

「なら今私が君のことを好きだと言っても、君は驚かないんだね」

 いきなり告げたその言葉に、私はデジャブを感じながらも、心の底から驚いてしまった。

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