10年の問い

 中学の頃、部活ごときでなんでそんなに本気になれるのか、わからなかった。

 将来それでやっていくやけではない、せいぜいできても大人の趣味程度だと。諦めに見えるような逃げが、当時の俺の心にあった。

 まあ、もしかしたら俺以外の奴らも、そう思っていたのかもしれないけど。

 でも10年たった今だから思う。

 本気になれる奴って、どこかおかしかったんだなって。

 一般的に言えば、みんな本気になれなくて、心のどこかで部活だしなってものがあったと思う。

 けどこいつらは違う。

 心の底から本気になれる奴ってのは、部活って枠組みにいないんだよ。

 それは俺らからじゃ想像できない事だ。

 でもそいつらの本気の原動力ってのは誰にでもわかる事で、単純な言葉でできてるんだと思う。

『私は愛してるんですよ。今も昔もこれをやることが』

 テレビの前で語る、プロの言葉。それが本気になれる奴の言葉なんだと。

 休日に、ソファに寝っ転がってお菓子を食べる俺は、10年経ってから答えを知った。

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