第3話 喧騒

③オリジナル小説「瞬き」


3話 喧騒


翌朝、

少し昭和の景色が残る、かつてあかりの母親である、


あかねと別れたターミナル駅で、


その娘のあかりと、待ち合わせしている。


あかり

「おまたせー。(笑)」


「最近の就活は、そんなに身体のラインを出さなきゃダメなのか?」


あかり

「デブじゃ、女子アナ無理っしょ?(笑)」


あかねに似て、その笑顔は、純真無垢過ぎる。


「語学とか、筆記試験は無いのか?」


あかり

「もう、バッチシ(笑)」


(モノレールに乗る2人。外景は、ハイソな劇場や、タワーマンションが、海辺に佇む)


あかり

「ついたー!(笑)」


TV局前に着いた俺は、婬獣の様な視線を、複数感じた。


俺は物を探すふりして、スタジアムコートの内側に仕込ませた、模造拳銃の、安全装置を外した。


あかり

「どしたのおじさん?最近、ボーッとしすぎ?大丈夫?」


あかりは、俺が上の空と思ったらしい。


「あ、ごめん。(^_^;)

あかりの、面接会場まで同伴していいか?」


あかり

「きもーい。予備校の時だけで(笑)」


俺は、あかりに防犯ブザーを、手渡した。


あかり

「なんでっ?!(笑)」


「おまもりだよ。」


俺は、あかりの面接会場の下の階の男子トイレ個室で、たてこもったが、


男子トイレらしからぬ、淫乱な喘ぎ声を聞いてしまう。


俺も若ければ、同調して興奮もしたろう。


でも····。


(個室のドアを蹴飛ばし、淫乱な営みをする個室ドアに立つ男)


「すんません、便器が、壊れてんで、使わせてもらえませんか?」


アイドル風の中年男性と、女子アナウンサーが口淫してしてる姿が見えた。


アイドル風の中年男性

「るっせーな!なんなんだよ!」


俺は、そいつの肩を掴むと、あかりが被害にあった男と、先に見たビジョンの整合性が合致した。


「あんたか?!」


アイドル風の中年男性

「は?、なんなんだよ!」


「俺は、死神だ。」


(模造拳銃を引き抜き、アイドル風の中年男性へ発砲する男。


模造拳銃の不具合か?その弾丸は、アイドル風の中年男性の左こめかみをかすり、逃亡させてしまう。)


誰かが、自動火災警報機を押したようだ。

TV局のなかは、子供の頃嗅いだ、鶏小屋のように右往左往しながら、バサバサバタバタと、慌てふためく、人々がいる。


あかり

「え?、なに?!」

アナウンサー局長

「今日の面接は、中止だ!君は職員用のエレベーターで、帰りなさい!」


喧騒のなか、俺はあかりを探した。


あかり

「い、いや!止めて下さい!」


(防犯ブザーのピンを抜くあかり。)


群衆に、引っ張られるか、流れるように、エレベーターに向かうあかりが、防犯ブザーを高く掲げる姿を見つけた。


「あかり!」


あかり

「おじさん!」


抱き合いも僅に、

みそぼらしい黒いコートを見た、警備員達がが俺を見つけて、走り寄る。

「走るぞ!」


俺は、あかりの手を握り、全力で、警備員の群れの中を突破する。


搬入用のエレベーターに乗り、1階に着く寸前に、エレベーターの強制停止がかかった。


あかり

「ねぇ、この騒ぎは、おじさんがしたの?何で?」


「わかってくれないだろうけど、あかりがズタボロになる»夢«を見たんだ。」


二十歳そこそこの、あかりが、千里眼(ビジョン)を理解するのは、俺が生きてるうちには無理だろう。


あかり

「ママの夢は、私の夢って、言ったよね?なんで?....おじさんが、私の夢を壊す権利なんて、どこにあるの?」


「学生上がりの、君には、理解しがたいだろうけど、今は、他人の夢を、食い物にする連中が多いんだ。」


あかり

「夢を叶えるなら、ある程度の犠牲だって構わないじゃん!」


やっぱり、上手く伝えられない。あかりの瞳の奥に、あの日のあかねを、写し出していたが。


(エレベーター業者)

『あー、すいません。エレベーターの業者ですが、只今臨時にエレベーターを停めてます。』


時が何分進んだか、体感はないが、あかねには、キツかったようだ。


あかね

「開けて!息苦しくてたまんないの!ねぇ、いつ開くの!」


(エレベーターの中を、インターフォンで確認する、刑事)


刑事

「不審者は(エレベーター)中に入る。対テロ部隊を配置に着かせろ!」


俺は、インターフォンの外の音に、不穏を感じ、スマートフォンで、あかりとやり取りを始めた。


『あかり。声を上げずに、此を読んで欲しい。


この国は、日本人は全て消されてしまうだろう。


君の夢を、君の犠牲で奴等の足場にしたくない。』


あかり

『はぁ?( ´Д`)。おじさん何を言ってるの?』


『今は、理解するには、時間が掛かりすぎるかも知れないけど、自分を大事にするんだ。』


あかり

『( ̄▽ ̄;)イミフー。病院行く?』


(エレベーターのドアを叩く音が響く。)


俺は再び模造拳銃を取り出し、音のする方へ銃口を向けた。


あかり

「おじさんっ!!」


(僅に開いた自動ドアに、バールやら、特殊工具の先端が突き出た。)


男性アナウンサー

「あ、開いたぞ!」


警察官や、警備員とは違う歓喜な声が、響く。


大道具

「大丈夫か?、今引き上げてやるぜ!」


あかりの手を掴み、引っ張り上げる、スタッフやアナウンサー。


大道具

「よぅ大将。そんなやべーやつはひっこめなよ!(笑)」


その漢の太い腕

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