【オネエリライト文】妖精エスパーひなりん

【リライト:第1話】お絵描き妖精は、渋谷の波を描く

【注意】セリフや設定に関して、いわゆる「原作崩壊」が含まれる為、原作ファンの方はご注意下さい。過去KAC課題「妖精」適用済み。

 また顔文字 (^o^) を多用しますので、横読み推奨です。

 ーーー…★



 ブブーーーン⋯⋯グォォォオオオン⋯⋯パァァアン⋯⋯

 ザワ⋯⋯ザワザワ⋯⋯ピンポーン、ピンポーン⋯⋯


 大都市・東京、渋谷区の8月。天気晴朗ナレドモ雲高シ。

 最高気温38度の炎昼だろうと、人の波が途切れる事はない。


 さて、ここは15階建ての廃ビル。

 在りし日に栄華を誇った摩天楼の一角も、盛者必衰の理に抗えずして解体中。

 壁や床が既に剥がされ、錆びた鉄骨が剥き出しとなっている。

 解体業者は休日なのだろうか、人の姿もない。


 やや冷えた風が吹く屋上には、一体の妖精が鎮座し、下界を睥睨していた。

 その優れた視力と観察眼は、都会の空気との流れを、的確に捉えていく。


 「…⋯⋯⋯(サッサッサッ) 」


 かの妖精は絵筆を握り、キャンバスの上に走らせていた。

 そこに描かれるのは、スクランブル交差点を行き交う民衆の姿。


 その美しき雑踏を、人々が織りなす「意図せぬ芸術」と呼ぶのなら。

 己の意思により、それを絵画に落とし込む事を「意図した芸術」と呼ぶのだろうか。


 「⋯⋯⋯ッ!!」


 そして妖精の集中力が、ピークに達し。

 陰影と細かい部分を調整するように、塗料を重ねていって。

 ついに、絵画はフィニッシュを迎えた。


 ーーだからこそ、妖精はに気づけなかった。

 途中、美しき雑踏から抜け出した女性が、この建物内へと足を向けた事をーー


 カラン。絵筆とパレットを置き、妖精は煙草に火を付ける。

 目の前のキャンバスには、完成した油彩画。

 焦燥や期待を抱いた群衆が、生き生きと行き交う、大都市の日常が切り取られていた。

 その側で吐き出された紫煙は盛夏の空へ、高層部の澄んだ空気に溶けていく。



(^。^)y-.。o○

「プハアァ〜ッ⋯⋯⋯


 これよ、これこれぇ!!

 やっぱり、ひと仕事終えた後のタバコは、蜜の味なのよおおォッ!!」

 ♪⁠~⁠(⁠´⁠ε⁠`⁠ ⁠)


 その妖精の外見は、一言で表すと「真っ黒なハニワ」である。


 ずんぐりした円筒形のボディは、頭部に近づくほど丸みを帯びていく。

 額に輝く「ウラ」の文字。太い眉毛、不敵な細目。

 顔の中心にどかっと鎮座する、大きな大きな鼻。

 ボディの左右から、”ぴょこん”と伸びた小さな手。

 スカートの部分には「608XXX」という謎の数字。


 ⋯⋯⋯そのツッコミ所。途上国を走るトラックの如く、過積載である。


 ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

「ウッキャアァアオォイエェ!!

 天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ、芸術の声がアタシを呼ぶッ!!

 その名は、ハニワ妖精ウラママン!」

( ・ิω・ิ)キリッ


 この妖精ウラママン、テンションが上ったのか⋯⋯勝手に自己紹介を始めたようだ。

 まあ、面倒なのでこのままやらせておこう。触らぬ妖精に祟りなし、である。


(⌒-⌒; )

「いやぁ〜、いろいろな時代、いろいろな場所をタイムリープしてぇ〜。

 その様子をスケッチし、絵画に残してきたアタシだけどぉ〜。

 この令和って時代も便利なように見えて、意外と生きづらそうよねえ、うんうん。」

(´ε`;)


 それは、いつの時代でもそうだろう。

 古代アテネでも「余暇に恵まれし高貴なる者、労働に追われる貧しき者」と言われた。

 働かざるもの食うべからず。

 働かねば餓死してしまうのは、古代も中世も現代も同じなのだから。

 今は「引きこもり」が存在を許されている分だけ、やや豊かにはなったろうが。


(ㆀ˘・з・˘)

「ちょっとナレーションちゃん、独り言にマジレスしないでよぉ〜。


 そうそう、豊かといえばなんだっけ⋯⋯ああ、『すまほ』って奴!

 アタシのテレパシー能力と似たような道具が、必須いんふら?らしいわねぇ。

 なーんか、お株を取られたようで悔しいのよねぇ〜。

 恐るべし人間のヨ・ク・ボ・ウッ!」

 ᕙ⁠(⁠⇀⁠‸⁠↼⁠‶⁠)⁠ᕗムムム⋯⋯


 などと、ウラママンが一人ごちている間に。

 このビルの階段を登りながらこちらに向かってくる、ひとつの気配があった。

 エレベーターが停止している状況で、長い階段をわざわざ登ってくるあたり、どこか明確な意思が感じられる。


 !(ㆁωㆁ*)キュピピーーーン!!

「ムムッ!!

 アタシの額の『ネガティブアンテナ』が、負のゴズマをキャッチしたワッ!!

 この発信者はぁ⋯⋯どうやらニンゲンの女性のようねぇ⋯⋯

 

 こいつから立ち上るオーラ⋯⋯おお、かなりの質の『負の感情』じゃないのォ〜♡

 どんよりした粘性と、鋭い攻撃性を併せ持っててぇ⋯⋯

 いいわいいわ、真っ黒で美味そうだわぁ〜。

 闇の妖精として、ぜひともつまみ食いしたくなるのぉ⋯⋯じゅるり。」

(;゚∀゚)=3ハァハァ


 貴様はどこの電撃戦隊だ。

 額に貼ってある『ウラ』の文字に、アンテナ機能があったのか。

 『負の感情』ってのは、食べ物なのか。

 あと、涎たらしてハアハアしてんじゃねーよ変態妖精め!


 ⋯⋯ぐふっ。ツッコミどころが多すぎて、俺はもう駄目かも知れない。


 щ(゚д゚щ)カモーン

「例の気配は、この屋上に向かっているようねェ。

 よぉーし、ここは待ち伏せ作戦ヨッ!

 気配を消して、ドアの陰に移動してぇ〜。

(((((っ-_-)っ ソロリ⋯⋯ソロリ⋯⋯


 ふふ、扉を開けた瞬間にパクっといただいちゃうわぁ〜♪」

((o(´∀`)o))ワクワク


 うげぇ⋯⋯悪趣味にも程があるだろう。

 つーかアンタ、原作の欠片もない悪党ぶりで、軽くドン引きだよ俺は。


 そうこうしているうちに、カン⋯カン⋯カン⋯と、素人耳にも分かる足音が接近している。

 足音が、屋上に続くドアの前で止まる。

 ーーガチャガチャガチャ!!

 錆びついて開かないのか、乱暴にドアノブを回している。

 ーードン!ドン!ドン!

 力ずくで、ドアを蹴破ろうとする音。この女性は武闘派なのだろうか。


(゚A゚;)ウズウズ

「あら、もう少しで扉が開きそうねえ。

 ここは焦らず、じっと我慢よぉ⋯⋯」


 変態妖精が全裸待機(コイツは元々、服など着ていないが)していると。


 ーーーバゴオォォン!!!

 轟音と砂煙を上げ、ついに扉は蹴り破られた!!


 =͟͟͞͞ □)`3゜)∵ゴフッ!!

「へぶるわあぁあッ!!?」


 吹き飛んだ扉が、ウラママンに直撃。

 そのままふっ飛ばされ、転倒。

 ピクピクと痙攣し、醜態を晒している。


 _:(´ཀ`」 ∠):

「プッシュぅ〜〜ッ⋯⋯ピクピクピクリンちょぉ〜⋯⋯」


 そして扉を蹴破った本人が、煙の中から姿を表す。


「⋯⋯⋯っ!!」


 しなやかな身のこなし。風になびく長髪。

 平均女性を上回る長身、そして鍛えられた体躯。

 扉を蹴り飛ばした美脚。

 その目は迷うことなく正面、青い虚空へと連なる方を、まっすぐに見据えていたーー

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【作品紹介&リライト】偽ママンが、オネエリライトで本物ママンに挑戦してみた 殉教@公共の不利益 @jyunkyo4444

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