第2話

尚也は製薬会社の営業マン。いわゆるMRをしている。



頼もしく快活だけれど、特にイケメンというほどではない。



なのでそれほどモテるわけでもないけれど、わたし好みのあっさり系の塩顔に、均整のとれたガッチリした体型をしている。



大学時代はラグビー部員だったと言うけれど、それほどゴリゴリってわけでもない。



わたしの場合、どんなに美形であろうとも、女の子のようなクリクリお目目の、可愛らしいイケメンはタイプではない。



誰にでも好みの顔と体型というものがあるでしょ。



とにかくわたしはまだ尚也が好きだった。



他のオンナに取られたくない。



だけど、最近の尚也の態度は冷たくて、言葉遣いもひどくぞんざいだ。



わたしから別れ話が切り出されることを待っているのかも知れない。



ーー絶対に別れてなんかあげないから。




尚也のカルビ弁当と自分用にカロリー低めのビビンバ弁当を選んでコンビニを出た。



いつもならデザートのスイーツも一緒に買うはずだけれど、やめておいた。



だけど、ダイエットは一大決心でもしない限り痩せられない。



食べることが大好きなわたしにとって、その決心は気の重いことだった。



尚也を失いたくない気持ちはあっても。



街路樹のイチョウ並木が、いつのまにか鮮やかな黄色に変わっていた。



一年はなんて早いんだろう。



尚也は今年30になるし、わたしだって28歳だ。



そろそろ結婚の話だって出てくる頃かと思っていたのに。



わたしの勝手な思い込みだったの?



来年はどんな気持ちでこのイチョウ並木を眺めているのかな。



重い足取りで弁当が入った袋を提げ、アパートに戻った。




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