第17話 無題

どうしようもない状況。誰も彼もが日常を過ごそうとして今までに山積した問題を見ようとしない。この前は集団で一人の人間を取り囲み強盗をしているのに誰も気にしようとしない。

なんでだろう。どうしてこうなったのだろう。この前は近所のおじいさんが撲殺されてた。警察も来ない。ハエがたかり始めている。でもあそこしか通り道がないから今でも脇を通る。どうしよう。うじが頭の中に集って白い山になっている。

政府の放送から加速度的に状況が悪くなっている気がする。海外にも拠点がある企業で働いてるから転属を希望すれば日本を離れられるかもしれない。そうじゃない人はどうなるんだろう?わからない。

わからない。どうしてこういうことになったのだろう?企業取引はまえまでなんとかなっていたのに。確かに労働力調査や景気統計に気になる兆候はあったかもしれないが、わからない。なぜこのような結果につながるのか。

前から気になっていた格差が問題だったのだろうか?でも資本主義なら格差は仕方がないだろう?なら再分配の仕方がまずかったのかな?そういえばベーシックインカムを実現しようとしていた政党があった気がする。でも気づいたら誰もそういうことを言わなくなっていた。自己責任だけが幅を利かせて縮小する市場となくなる雇用をただ追認するだけだった。

どうしてうまくいかないのだろう?マクロ経済の授業を取っていたけどどうにもわからない。日銀の出していた報告に個人の社会に対する忌避感みたいなことのがのっていた。異例のことだった。

日常は動いているようでやっぱり軋んでいるように見える。街に悲鳴は珍しくなくなった。銃声はたまに聞こえるようになった。私の周りの家はまだ大丈夫だ。でもロードバイクで50kmくらい走ってみたら強盗をやっているかのような集団を見てしまった。彼らに追われそうになった。

誰のせい?誰のせいだろう?すべての人が状況を構成しているのに誰かの責任をだけ問うのもおかしいような気がする。沈黙は肯定なんだ。誰かの不公正について黙ることは肯定と同じなんだ。だから黙ってやりすごすのも同じくらい罪だ。どうしてうまくできないのだろう。

今日も精神科に行く。安定剤を貰いに行く。どうしようもない現実の中でどうにか生きていく方法を探さなくてはいけない。疲れたけど決断しなくては。

現実はゴミだが人生はまだ終わらない。

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