人生が変わる切っ掛け KAC20255
クースケ
第1話 浪人生
「ねぇ、そろそろ働いてくれない?」パートから帰った母と鉢合わせた途端、そんなセリフを聞くことになるとは‥。
桐谷家に生まれて早22年 真隆は、今年から浪人も4年目となる。流石に家族の我慢にも限界が来たらしい。
思えば、余裕で入れるとタガをくくっていた某有名私立大学。中、高と名門校で上位3位以内に入っていた俺のプライドがズタズタになっていた。失望しながらも浪人1年目の頃は、まだ勉強にも意欲的だったし、家族も『あなたは勉強に集中してればいいのよ』なあんて甘やかせてくれた。
だが流石に、浪人も長くなると勉強にも集中力がなくなり、手の届きそうな距離にあった大学合格も遥か彼方にある。おまけに、短期のバイトをしては、新規のゲーム機を買い込んできていた。。
2年目は、勉強の合間にストレス発散しているんだよ。なあーんて言い訳も通用したが、浪人している割にはどんどん試験の点数が悪くなってきたのだから、たまったものではないだろう。
「働いたら、勉強に身が入らないじゃあないか」
「言いたくないけど美月も、来年受験なのよ。もう、あなたの予備校の支払いはできないわ。いい加減いい大学とかにしがみつかなくたっていいのよ」
「なんだよ、しがみつくって。それに、美月なんてどうせ誰でも入れる意味のないところだろう」
「とにかく、我が家はもう、あなたに投資はできないの。今月以内に、予備校も辞めてバイトでも決めてきて。生活費も入れてもらうからね」そういうと、干していた洗濯物や布団を忙しく取り込んでいた。
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