妖怪枕返し無双?【KAC20255】
夢月みつき
「イッツアショータイム!」
妖怪枕返しとは、寝ている間に悪戯をしてくる妖怪だ。寝ている間に枕の位置が変わっていたら、枕返しの仕業とされた。外見は子供や坊主、美女のこともあるが、はっきりした姿は分っていない。
おいらは枕返し、妖怪だ。みんなが寝静まった深夜がおいらの活躍する時、さあ、今夜もイッツア・ショータイム! おいらの時間だ!
おいらは得意のダンスを踊りながら、華麗に子供や大人達の枕をひっくり返していく。
「そぉ~れっ! スパパパパーン!!」
枕を華麗に操り、ひっくり返すその神業、布団と枕との浮遊感と摩擦を人間に感じさせることがないように起こさないように、スマートに! 自然に!そーれ、それそれ!スパパパパーン!
「でも……、おいらの華麗な技をたまには誰かに見てもらいたいな」
ふと、枕返しは寂しくなってしゅんとし出した。
ある日、枕返しがいつもの通りに人間達の枕を返していると彼の後ろに気配がした。
ビクッとして振り返ってみたら、四~五歳位の男の子が寝ぼけ
「げげっ! マズイ、人間の子供に見つかったあ!」
枕返しがあたふたしながら、家から逃げようとして煙になろうとすると男の子にガシッと尻尾髪を掴まれた。
「えっ、放せよお!」
枕返しが振りほどこうとすると男の子が悪戯っぽい笑みを浮かべてこう言った。
「なぁ、今のもう一回やって!」
期待の眼差しで目をキラキラと輝かせ、枕返しを見やる。
「見たいのか?」
「うんっ!」
「うへへっ、仕方ねえなっ。そんな顔されちゃあ、見せない訳にはいかないな」
「いっくぞ~~!!!スパパパパーン」
枕返しは嬉しそうに男の子と一緒にキャッキャとはしゃぎながら枕を返して行った。
しかし、その様子を窓の外から、覗き見ていたモノいた。
ネット界隈にそのトリありと言われている妖怪トリの
枕返しと男の子は、突然入って来たそのカリスマ的なトリに思わずひれ伏してしまった。
「これ、そこな枕返しよ。ちこうよれ」
「おいらですか? おいらに何か用かい?」
枕返しは小首をかしげてきょとんとしている。
「私はずっと、探していた。君のようなエンターテイナーを! 君は私が開催する全国枕返し大会に出場するのだ」
こうして枕返しは大会に出場し、バディにはもちろん、あの男の子が選ばれて誰にも、負けない天下無双の枕返しに成長していくのであった。
-おわり-
★☆∴─────────────────────────∴★☆
最後までお読みいただきありがとうございました。
妖怪枕返し無双?【KAC20255】 夢月みつき @ca8000k
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます